<大相撲春場所>◇8日目◇21日◇大阪府立体育会館
横綱白鵬(25=宮城野)が東前頭4枚目玉鷲(25)を下し、初日から8連勝とした。十分の右四つながら初顔の相手を慎重に攻め、最後は投げで崩して寄り切った。ストレート給金は昨年九州場所以来12度目で、元横綱貴乃花に並ぶ歴代7位。4大関が総崩れした土俵を、しっかりと締めた。大関とりの関脇把瑠都(25)も平幕旭天鵬(35)を寄り切って、同じく無傷の8連勝。大関日馬富士(25)が敗れたため、全勝は白鵬、把瑠都と平幕時天空(30)の3人になった。
綱の務めだった。白鵬は、大関陣総崩れの土俵を、しっかりと締めた。相手はモンゴルの後輩で初顔の玉鷲。前に出てくる力はあるだけに、慎重だった。「十分になったので、慌てずに。いい緊張感がありましたね。締めてやるって」。得意の右差し、左上手で「呼び戻し」も見せながら、投げで崩した。最後は腰を落とし、盤石に寄り切った。
元朝青龍関が引退し、1人横綱になった。3日目夜には、入門時から見守る熊ケ谷親方(元前頭竹葉山)に「疲れます」とこぼした。昇進2場所目の07年秋場所など、先輩横綱の出場停止や休場で“1人横綱”になったことはある。白鵬は「あの経験が生きている」というが、今場所からは正式な1人横綱だ。「今まで、そんなことをこぼすのは1度もなかった。プレッシャーがすごいんでしょう」と同親方。重圧と闘いながら、地に足を着けて戦う。
3敗した初場所後、86勝した昨年の強さが消えた原因を探し出した。たどり着いた結論は「土俵を歩いていた」。仕切りで、つま先から足を着く「すり足」ではなく、カカトから足を下ろしていた。土俵を指でかむように踏む「すり足」は、下半身の芯になる大腰筋や内転筋を刺激する。優勝した朝青龍は、それができていた。白鵬は冷静さを失い、その基本を忘れていた。
反省に立ち、2場所ぶりの全勝ターンを決めた。通算12度目は、元横綱貴乃花に並ぶ歴代7位。「ま、いつも通りって感じかな。勝ち越しなんで、喜んでいいでしょう」と余裕の笑みを浮かべた。優勝が宿命づけられた15日間。「手ごたえ」を聞かれると「ありますよ」と悠然と答えた。日本中を黄砂が襲い、大関や弓取りまで乱れた1日。負けられない白鵬に「荒れる春場所」の言葉は、関係なかった。【近間康隆】

