日本相撲協会は14日、力士、親方ら65人が賭博にかかわっていたと発表した。「上申書」と称した実態調査を行い、29人が野球賭博、36人が花札など他の賭博を経験したことが判明。野球賭博にかかわったと5月20日発売の週刊新潮に報じられ、否認していた大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)も、一転して自己申告した。

 琴光喜はこの日、上申書で野球賭博への関与を認めた。午後8時前に、千葉県松戸市の自宅にタクシーで戻ると、重い口を開いた。「関与を認めるのか?」の問いには「はい」と返答。「(進退は)協会にお任せしています。(賭博問題には)お答えできない」と続けた。

 師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇琴ノ若)は、部屋の前で頭を下げた。「このたびは、大変ご心配をおかけしまして、申し訳ありません。私の気持ちは整理がつかず、言葉がありません」。騒動が浮上して以来、弟子の言葉を信じ、バックアップしてきただけに、ショックは隠しきれなかった。

 これまでの発言から一変したのはなぜか。武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)は「本人がそういう心境になったのでしょう」とし、陸奥広報部長(元大関霧島)は「(琴光喜は)言えないこともあって、本人が一番苦しんでいた」と思いやった。

 これを受け、警視庁組織犯罪対策3課はこの日、近く琴光喜を改めて事情聴取する方針を固めた。関与の程度や暴力団関係者とのかかわりについて捜査を本格化させる。

 週刊新潮が今回の問題を報じた後、組対3課は夏場所14日目の5月22日に琴光喜を聴取。場所中にもかかわらず、取組終了後に東京都千代田区の同庁に呼び出す異例の対応だった。捜査関係者によると、2時間近くに及ぶ聴取で琴光喜は野球賭博や暴力団関係者からの恐喝について「言えない」としたという。

 その後、協会が、複数の現役力士が野球賭博をしていたことを発表するなど新たな動きが出る中、組対3課は必要に応じて関係した力士から事情を聴く意向を表明。琴光喜についても「粛々と捜査を進める」(捜査幹部)としていた。琴光喜は報道の内容を一切否定していただけに、今後は厳しい捜査が続くとみられ、立件の可否が注目される。