警視庁が、野球賭博の口止め料として大関琴光喜(34=佐渡ケ嶽)から約300万円を脅し取ったとされる暴力団関係者について、恐喝などの疑いで立件する方針を固めたことが16日、捜査関係者への取材で分かった。

 警視庁は既に、琴光喜をはじめ、日本相撲協会に野球賭博への関与を申告した一部の関係者から任意で事情聴取した。疑惑が報じられる前から、琴光喜への恐喝に関する情報を得ていたほか、14日の再聴取で、本人が事実関係を説明したことから、立件可能と判断し、詰めの捜査を急いでいる。

 捜査関係者らによると、暴力団関係者は、野球賭博に関与していた現役力士の兄とされる。琴光喜側が野球賭博の「勝ち金」支払いをこの力士に求めた際、口止め料として現金約300万円を琴光喜から脅し取った疑いが持たれている。さらにその後も約1億円を要求した疑いがあるという。

 警視庁は、恐喝事件の立件を急ぐ一方、琴光喜の野球賭博への関与の実態も捜査。また、野球賭博にかかわったとされる複数の親方や関取らほかの28人も任意の事情聴取を進め、関与の度合いに応じて賭博容疑での書類送検などの対応を検討する構えだ。さらに、野球賭博を主催していたとみられる、「胴元」と呼ばれる暴力団関係者の実態も調べ、角界からの暴力団追放の動きを強化する方針。