日本相撲協会は5日、賭博問題の影響で延期していた大相撲名古屋場所(11日初日、愛知県体育館)の新番付を発表した。4日に解雇された元大関琴光喜関や元大嶽親方(元関脇貴闘力)の名前が番付表に残り、幕内6人と十両4人、幕下以下8人の計18力士が「謹慎休場」となる異例の場所。史上初の3場所連続15戦全勝を狙う横綱白鵬(25=宮城野)も、複雑な心境を明かした。

 泰然自若を目指す白鵬が、動揺していた。初日を6日後に控え、名古屋市内の宿舎で会見。現在32連勝中の横綱は「休場したら連勝記録は止まっちゃうの?」と聞いた。横綱昇進後18場所を皆勤、名古屋入り後も調整は万全だ。故障を心配する声に「心のケガが大きいんじゃないかな」と打ち明ける。「休場を考えた?」の問いに「はい。考えました」と真顔で答えた。

 夏場所後に右太ももを化膿(かのう)させた。だが、名古屋入り後に除去処置を済ませ「ウミは出し切りました」。角界の清浄化へ武蔵川理事長(元横綱三重ノ海)が連呼するフレーズで笑わせるほど問題ない。

 揺れる原因はやはり賭博問題だ。花札で賭けをしたため、4日に謝罪。さらに契約トレーナーが野球賭博の仲介役だったことが判明し「心に大きなヒビが入った」という。「本当にいいライバルで…。角界一、相撲がうまくて、同じ土俵で相撲を取ったことを誇りに思います」。解雇になった元琴光喜関に話が及ぶと、瞳が潤んでいた。

 ただ、いつまでも感傷に浸ってはいられない。史上初の3場所連続15戦全勝がかかる場所は、土俵を見る目が厳しくなっている。「力士一丸となって心を入れ替えるしかない。難しい場所になりますが、空回りしないように」。改心した姿は、まずは土俵で見せるしかない。【近間康隆】