尊敬する先輩に成長を見せた初防衛となった。プリンセス・オブ・プリンセス王者の渡辺未詩が、中島翔子との防衛戦に臨み、苦しみながらも、勝利をつかんだ。

終盤まで中島の素早い攻撃に翻弄(ほんろう)され、持ち味のパワーは影を潜めた。首を執拗(しつよう)に攻められ続け、無人在来線固めで、ロープに逃れるのがやっと。場外でトペ・コンヒーロを食らい、リングに戻りかけたところで、エプロンでセントーンを浴びるなど、なすすべなしだったが、一瞬のスキを突いて、パワースラムで逆転。最後は勢いよく突っ込んできた中島を強烈な張り手で止め、ティアドロップで沈めた。

「織田信長と並んで、人生で一番尊敬している」先輩の背中を見て、プロレスを学んできた。3月31日の両国大会で山下実優を破って初戴冠。苦労して手にしたベルトだっただけに、最初に王者としての強さ、成長を見せたい中島との対決を素直に喜んだ。「中島さんとベルトをかけて戦うことができてうれしかったし、勝ってうれしかったし、王者として成長できた」。

4月27日の前哨戦に敗れた際には「チャンピオンとしての考えが甘かった」と反省。レジェンドメンバーの中島や山下らがベルトを失った東京女子は「新時代」を迎えている。渡辺自身はその言葉をあまり使わないが、この日はリング上で「私にとって新時代はここにいる全員、選手1人1人が新時代だと思っている」と、あえて口にした。自分が引っ張っていくという決意の表れ。「ここから全員と戦ってベルトを大きくしていきたい」。東京女子の中心として、団体を背負っていく覚悟を持った渡辺が、ベルトを自分の色に染めるため、新たな防衛ロードに向かう。