角界を取り巻く諸問題解決に取り組む「ガバナンス(組織統治)の整備に関する独立委員会」が、日本相撲協会に厳しい姿勢を見せて船出した。16日、東京会館で1回目の会合を開催し、親方衆をオブザーバーとして会議に加えるという協会案を拒否。会議中は別室で待機してもらい、事情説明が必要な場合だけ参加してもらう方針を固めた。座長には、日本高野連会長の奥島孝康氏(71)が就任した。

 相撲協会から「独立した組織」として、改革を進める。独立委は、この姿勢を強く打ち出した。11人のメンバーは全員が外部。協会の理事会は、議決権のないオブザーバーとして、親方衆を会議に加える要望を出していた。しかし、答えは「ノー」だった。

 会見した奥島座長は「オブザーバーには別室で控えてもらい、お話しをうかがう機会があればうかがう。出席は認めない。独立委の性格も考え、世間の視線もふまえて、別室で待機してもらうことになった」と説明した。まわし組による影響力を少しでも残したい協会側の意見は、通らなかった。

 会議でも、意見は分かれた。企業経営者は「入れないのは失礼」、学者は「外へ置くべき」との主張があったという。結局、奥島座長が「必要な時だけ呼ぶ」という落としどころを提案して、まとまった。協会が推す尾車親方(元大関琴風)、陸奥親方(元大関霧島)、八角親方(元横綱北勝海)が基本メンバーの見込みだが、固定せずに、議題によって入れ替えることになった。

 この日の初会合を両国国技館でなく、協会から「独立している」ことを意味づけるために、あえて東京・日比谷で開催した。ワタミ会長の渡辺美樹氏も委員の1人で、一時は「和民でやろう」という声も挙がったという。委員の出身母体は多岐にわたり、必ずしも全員が相撲に精通しているわけではない。「だから、幼稚な質問も出た」と証言する委員もいたが、渡辺委員は「いろんな会に出ているが、大変充実していた」とも言った。

 奥島座長は「相撲は日本の文化であり、我々にとって欠くことができない。そういうものを守りながら、将来の発展につなげるために、相撲界をどのように改革するかという大きな任務を背負っている」と決意を述べた。オブザーバー案は、その第1歩。18日の理事会で提言し、理解を求めていくことになった。