大相撲八百長問題のメールにより疑惑が浮上した14人のうちの1人で、277キロの現役最重量力士の幕下山本山(26=尾上)が「ピザ被害」に遭っていたことが23日、分かった。疑惑浮上後の今月上旬、山本山宛てに部屋に約6万5000円分の大量の宅配ピザを注文されたという。悪質ないたずらとみられる。山本山は特別調査委員会の求めに応じ、携帯電話を提出済み。あらためて八百長への関与を否定したが、とんだ災難に遭っていた。

 都内の所属部屋で稽古を終えた山本山が暗い表情で語り始めた。「自分の名前が(メールに)出てきた意味が分からない」と潔白を強く主張。さらに「この前はピザも届いたんですよ」と明かした。疑惑浮上から数日後。稽古終わりに風呂で汗を流そうと思っていたところ、大量の宅配ピザが届いた。注文者は山本山の本名「山本龍一」を語っていたという。

 山本山

 店の人がまず最初に1万5000円分を持ってきて。「あと5万円分あるんですが、本当に食べるんですか」と言うんです。びっくりした。いたずらでしょうね。(疑惑が浮上する)今までは、こんなことなかった。本当に勘弁してほしい。つらいですね。

 時に1食で茶わん20杯近くのご飯を胃袋に入れるという大食漢。6万5000円分のピザなら食べられそうな気もするが…。「申し訳なかったですが、頼んでないので持って帰ってもらった」。他には部屋の後援会名義で偽の荷物が届くなど「2次被害」が続いた。

 八百長関与を認めた竹縄親方(元幕内春日錦)から三段目恵那司への携帯メールで「貸しは光龍と山本山だけだよね」と名前が出て、疑惑が持ち上がった。すぐに否定した山本山だが、肩身は一気に狭くなった。尾上親方(元小結浜ノ嶋)からの忠告もあり、部屋の外に1歩も出ていないという。「最初はストレスがひどかった。稽古場にも下りたくないと思ったくらい。あまりテレビは見ないようにした。自分の名前が出るとへこむから」。

 十両だった昨年名古屋場所で左膝靱帯(じんたい)を損傷。休場が続き、同九州場所で幕下陥落した。今も満足に稽古できず、体重は自己最重量の277キロに到達。「けがしてから1回も本場所で15日間相撲を取ってない。万全にしてもう1度トライしたい」。元幕内の人気力士は、疑いが晴れる日を信じて待つしかないといった様子だった。