<大相撲初場所>◇12日目◇19日◇東京・両国国技館
優勝争いが、変化の連発で水を差された。大関把瑠都(27=尾上)が、新大関稀勢の里(25)をはたき込んで全勝を守ったが、立ち合いの変化で場内から大ブーイングを浴びた。稀勢の里は3敗目。1差で追っていた横綱白鵬(26)は、大関日馬富士(27)の注文相撲で敗れた。日本相撲協会の首脳からは、不満の声が相次いだ。今日13日目にも把瑠都の初優勝が決まる。
優勝の行方を左右する取組は、1秒で終わった。11連勝で初Vに突き進む把瑠都が、左にひらり。稀勢の里を変化で横転させた。場内は騒然となり、水付けをする把瑠都に、帰れコールが浴びせられた。
支度部屋に戻った把瑠都は、事情を口にした。「最初は組みにいくか、突き放すか決めていた。向こうが手を付かないから、なんでって思った。(変化は)体が勝手に動いた」。やじは耳に入った。「見に来てくれたファンの皆さんに申し訳ない」と謝罪した。
結びの一番でも、日馬富士が変化し、白鵬に土がついた。優勝に絡む大関以上の取組で、正々堂々とした相撲が見られなかった。日本相撲協会の受付は、留守電に切り替わる午後7時まで約1時間、抗議や批判の電話が鳴りやまなかった。
升席で観戦した横綱審議委員会の鶴田委員長は、厳しく指摘した。「相撲ファンがね、いなくなっちゃう。勝ちゃいいってもんじゃない。力のこもった好勝負が見たい一番であんなことやったら、把瑠都の人気が落ちるよ。3分の1くらい、気持ちは分かる。(優勝しても)綱とりに影響がある。あんな相撲を取って、何が横綱か」。
土俵下で見守った中村審判副部長(元関脇富士桜)は「場内ほとんどみんな、怒ってたよ。そりゃ、怒るわな。もっとしっかりやってもらいたい」と話した。放駒理事長(元大関魁傑)は「勝負だからしょうがないが、ぶつかりあって相撲を取ってほしかった。注目の相撲だったのに、お客さんも興ざめしてるんじゃないか。後は何もないよ」と頭を抱えた。
無傷の把瑠都は2差で独走し、早ければ今日13日目に初優勝が決まる。初Vなら、来場所は綱とりがかかる。だが、協会の看板として内容も伴わなければ、ファンの多くは納得しない。【佐々木一郎】

