大相撲の新大関鶴竜(26=井筒)が、ファンサービスの会場入りをする。今日6日初日の夏場所(東京・両国国技館)を前に5日、三役以上の力士らが集う土俵祭りに出席。場所中は大関以上が許される地下駐車場からではなく、国技館の地上入り口から徒歩で入場することを明かした。昇進伝達式で口上に入れた「お客さま」に喜んでもらえるよう、土俵の外でも意識していく。

 鶴竜がファンの前を歩いて国技館へ入場する。「天気のいい日は、歩いて場所入りする。門までは車で。タクシーか、たまにおかみさんに送ってもらえると思う」。大関以上は本場所中、観客の目に触れず地下駐車場への乗り入れが可能。ただ新大関は、そうした特権にこだわらない。

 師匠の井筒親方(元関脇逆鉾)は「負けが込んだら地下から行くんじゃない」と苦笑いしつつ「ファンサービスは大事なことだからね」。所属部屋から国技館までは直線にして約400メートルと近い。当初は「完全徒歩通勤」プランもあったが、親方と相談して南門からの徒歩を決めた。今年春場所初日には白鵬が南門から場所入りし、好評だった。

 鶴竜の昇進で史上初の6大関となった影響か、初日に114本と多くの懸賞がかかった。08年初場所の119本に次いで史上2番目。注目の新大関はまず体重約200キロの臥牙丸と対戦する。過去は2勝。伝達式口上で入れた「お客さま」に喜んでもらうには、サービスだけでなく、土俵上での活躍も欠かせない。

 「余計なことを考えず、15日間思い切って取れればいい。精いっぱい自分の相撲を見せたい」。場所前の一時的な不調を脱し、淡々とした口ぶりの中に自信がうかがえた。新大関Vなら06年夏場所の白鵬以来となる。今場所後開業の東京スカイツリーに負けない注目を集められるか。期待に応えるべく、鶴竜の戦いが幕を開ける。【大池和幸】