<大相撲名古屋場所>◇10日目◇22日◇愛知・愛知県体育館

 関脇豪栄道(28=境川)が、1敗の横綱鶴竜(28)を押し出しで破り、7場所連続の勝ち越しを決めた。連日大好物の焼き肉を食べてスタミナをつけ、まげをつかんで反則負けした先場所のリベンジに成功。14場所連続で守る関脇から大関昇進を目指す思いは強く、今日11日目は全勝の白鵬(29)に挑む。

 会心の当たりだった。豪栄道は立ち合いで鶴竜を押し込むと、慌てて引いてきた横綱を一気に押し出した。「納得いく相撲が取れた」。珍しく自分を褒める言葉を口にして「1年に3回くらいかな」と笑った。

 悪夢を振り払った。2場所連続2ケタ勝利を狙った先場所、5敗して迎えた12日目の鶴竜戦でまげをつかみ反則負け。この日はリベンジを懸けた一番でもあったが、余計な意識はなかった。「いつまでも引きずっててもしょうがない」。心を切り替え完勝した。

 暑さが増す名古屋場所でも「スタミナを落とさないように食べている」という。エネルギー源は「ほぼ毎日」と言うほど食べる夜の焼き肉だ。宿舎近くの愛知・犬山市内に縁起のいい飛騨牛焼き肉店がある。昨年、2勝7敗の危機から、その店に通い続けて6連勝した。

 初日前夜に行き損なった今年は黒星発進も、同夜に出掛けた後は4連勝と盛り返した。9日目も訪れ、必勝メニューを注文。タン塩、ヒレ、サガリ、ミノ、卵とじコムタンテールスープを食べた。それでも、太り過ぎて動きが鈍くなるのを防ぐため、白飯とビールは口にせず、体調を管理している。

 昭和以降単独1位の14場所連続関脇在位も、このまま居座るつもりはない。大関昇進ムードを高めるためにも残り5日間が勝負。今日11日目は、全勝の白鵬戦。「思い切ってやるだけ」。がむしゃらに、総力戦でぶつかる覚悟だ。【木村有三】

 ◆夏場所12日目の鶴竜-豪栄道戦

 鶴竜が突っ張って攻勢だったが、引き技が出た際に空振りして足を滑らせた。その瞬間、豪栄道にはたき込まれて落ちた。軍配は豪栄道で、井筒審判長(元関脇逆鉾)ら5人の審判も動かなかったが、東の土俵下に座っていた白鵬が物言い。鶴竜の体勢は崩れていたが、その後に豪栄道の手がまげをつかんでいるとして、史上初の横綱の反則勝ちとなった。鶴竜は「変な感じで頭が下がった」。豪栄道は「判定なら仕方ない」と言うも、ぶぜんとしていた。