広島山口が両極端の姿を見せた。1回に1死一、二塁のピンチを迎えたが、ここから勇気あふれる投球を見せた。4番バレンティンはカウント1-1から147キロの直球をフルスイングの空振り。勝負球は変化球も考えられたが、149キロの直球を外角にスバッと決め見逃し三振に仕留めた。次打者雄平はファウルで8球粘られたが、145キロの高め直球で空振り三振。すばらしい投球だった。

2回は一転してメンタル面の課題を露呈した。村上に1発を浴びた後、2死を取ったが、ここで投手の小川に四球。さらに太田にも四球を与えた。佐々岡投手コーチにマウンドでハッパをかけられたが、続く青木もストレートの四球。3球目には、投げた後大きく体勢を崩す場面もあった。満塁から山田哲に2点打を浴びたが、フォームのバランスが崩れていた。

山口の課題は精神面。5月に初勝利を挙げたときは怖いもの知らずの若々しい投球を見せたが、それ以降は球威が落ち、魅力がなくなった。怖さを知って、腕が振れなくなったように見えた。山口の武器は伸びのある真っすぐ。いい武器を持ってるのだから、思い切ってどんどん投げ込む姿を見たい。小さくまとまろうとすると、成長が止まる。(日刊スポーツ評論家)