優勝に近づく巨人が強さを見せつけたが、広島にもまだ日本一になるチャンスが残っている。CSで対戦する可能性が高い両チーム。日本シリーズに進むためには、互いに付け入られる隙をなくす必要がある。

例えば巨人が失点した4回の場面。二盗を狙った広島鈴木に対し、小林の二塁送球は完全にアウトのタイミングだった。だが坂本勇がはじいてボールを落とした(記録上は盗塁成功)。

6回には、投ゴロを処理した山口の一塁送球が打者走者の鈴木に当たった。ラインの内側を走って守備妨害でアウトとなったが、そもそも送球自体が大きくそれていた。もとは山口の送球ミス。勝ったからミスが目立たないだけで、巨人にとってはラッキーだった。

短期決戦はワンプレーで流れが変わる。特に巨人は広島に、5季連続で負け越している。直接対決は14日が最後。圧倒的な力で苦手を払拭(ふっしょく)し、精神的優位でCSを迎えたい。だからこそミスは避けなければいけない。

広島も、遠藤のボークやメヒアの悪送球が失点につながった。過去セ・リーグのCSで、2位以下のチームが日本シリーズに進んだ例は3度ある。隙を見せていては、巨人戦で勝ち越したアドバンテージはなくなり、下克上が遠ざかる。(日刊スポーツ評論家)

6回表広島2死、鈴木の投ゴロを捕球し一塁へ送球する山口(撮影・山崎安昭)
6回表広島2死、鈴木の投ゴロを捕球し一塁へ送球する山口(撮影・山崎安昭)