完全復活へ前進だ。阪神藤浪晋太郎投手(25)が9日、日本ハムとの練習試合(かりゆしボールパーク宜野座)で今季初先発。2回を無安打2四球無失点とほぼ完璧に抑えた。

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藤浪の投球に一定の進歩を感じた。日本ハム打線は主力が少なかったが、今の時期チェックしたいのは球の質。右打者4人とも対戦したがシュート回転しての抜け球もなかったし、コントロールが安定していた。王柏融を見逃し三振に斬った膝元への1球は抜群だったし、しっかり指にかかった質のいい真っすぐが随所に見られた。山本昌臨時コーチの教えを意識して、取り組んでいる成果だろう。

ただ開幕ローテ、1軍の主力相手にどうかと聞かれると、現時点ではまだクエスチョンマークだ。制球を重視している分、テークバックがコンパクトになった。ただコンパクトになった分、しっかり左足に体重移動して、腕を大きく振らないと、怖さを感じない。打者との距離を詰められず、手足の長さも生かせない。この日の最速は154キロだったが、打者は154キロほどの球威を感じなかったのではないか。怖さが減っている。今後の投球練習では、体重移動と腕を大きく振ることを意識して欲しい。

あとはもう少し、手首を立てることだ。昨季の寝ていた状態から随分立たせて投げていたが、もう少し立てると、より上からたたける。上からたたくことで角度がつき、打者も打席での球速を感じる。あと数ミリでいい。その数ミリの違いで、もっと空振りが取れる。

もう少し手首を立て、しっかり体重移動して大きく腕を振る。この2つを重点的に修正していけば、十分開幕ローテを狙っていける。どうレベルを上げていくか、引き続き注目したい。

阪神対日本ハム 先発の藤浪は2回を投げ無安打に抑える(撮影・黒川智章)
阪神対日本ハム 先発の藤浪は2回を投げ無安打に抑える(撮影・黒川智章)