オリックスは、選手の層が厚くなったな。宮崎市清武での春季キャンプを見て、そう感じた。練習から見てとれたのは、昨年、優勝できたという安心感ではなく、チーム内に生まれた新たな競争だ。

新背番号「7」のユニホームを着用しロングティーをするオリックス吉田正(撮影・和賀正仁)
新背番号「7」のユニホームを着用しロングティーをするオリックス吉田正(撮影・和賀正仁)

昨年は紅林ら若い力が台頭。ただ、誰かがケガをしたら代わりがいない、という状況だった。その課題が解消されつつある。問題解決をもたらしたのは、ドラフトの大成功。聞けば、狙い通りの選手をほぼ獲得できたという。これはなかなかかなうことではないが、練習を見てなるほどなと思った。

ブルペンで調整するオリックス・ドラフト1位の椋木蓮
ブルペンで調整するオリックス・ドラフト1位の椋木蓮

ドラフト1位の椋木蓮投手(22=東北福祉大)は直球、変化球ともにかなり面白いレベル、と聞いた。2位の野口智哉内野手(22=関大)は紅林の競争相手になるし、3位の福永奨捕手(22=国学院大)はキャッチングに課題があるが、打撃にパンチ力があって今の捕手陣への刺激になる。4位の渡部遼人外野手(22=慶大)には、高い出塁率を期待できそうな打撃技術と足がある。どの新人も今のメンバーに、うかうかしてはいられない、と思わせる顔ぶれだ。

優勝した直後こそ、チームを補強し、競争を促す。そうすることで昨年の優勝を支えたメンバーがよりたくましくなる。レギュラーをうかがう選手も、まだまだチャンスがある、と目の色を変える。個々の意識が選手層を厚くする。雰囲気も、非常にいい。オリックスが着実に、連覇への地固めを進めている。(日刊スポーツ評論家)

ブルペンで高山投手コーチ(右)と話す梨田氏(撮影・和賀正仁)
ブルペンで高山投手コーチ(右)と話す梨田氏(撮影・和賀正仁)