開幕2連敗を喫した日本ハム。ただ、この開幕カードを「遊び」と言っている新庄監督にとって、連敗は痛くないのだろう。単純に選手をリラックスさせて戦いたいと思っているだけで、本心で言っているとは思っていなかった。しかし開幕戦を含めた戦いぶりをみると本当に“調整”の試合をしているのだと感じた。

ソフトバンク対日本ハム 1回裏を投げ終え、新庄監督に迎えられる堀(撮影・屋方直哉)
ソフトバンク対日本ハム 1回裏を投げ終え、新庄監督に迎えられる堀(撮影・屋方直哉)

開幕戦にリリーフ登板した堀が、予告先発通りに連投になっての先発だった。そしてローテーション投手と思われる河野が4回からリリーフし、5回に5失点。敗戦投手になった。

「遊び」と称している試合を真面目に評論しても仕方ないが、「調整試合」としても疑問が残る。

開幕戦を見てもルーキーの北山が先発し、ローテーション投手と思われた伊藤や加藤、根本がリリーフで登板。まだ開幕カードだけに無理をさせないため、先発投手に長いイニングを投げさせないという戦略は理解できる。それでも先発には先発として、リリーフ投手ならリリーフとして投げさせた方が理にかなっている。

投手には準備がある。先発投手は前日からコンディションを整え、試合前までのルーティンを作る。リリーフ陣も試合の流れを考えながらブルペンで肩を作る。どうせ投げさせるのなら、せめて本番を想定した状況を整えてやるべきだろう。あり得ないとは思うが、今後もこのような継投で戦うつもりなら、リリーフ陣は壊滅してしまう。

なんのためにキャンプ、オープン戦があるのだろう? 本番を見据えて戦う布陣を見極めるのが首脳陣の役目。奇想天外な戦術を楽しみにしているファンもいるのだろうが、純粋に真剣勝負を見たい、必死に勝ちにいく姿を見たいというファンにとっては、物足りない試合だったのではないか? 個人的には出場した選手は与えられた中で一生懸命プレーしていた。それだけに残念に思えた。

確かに野球というスポーツは「遊び」だろう。否定はしない。しかし私は現役時代に「遊び」だと思ってプレーしたことは一度もない。この世界で飯を食っていくためにどうすればいいのかをいつも考え、厳しい練習をこなしてきた。首脳陣がそういう環境を整え、教育をしてくれた。プロとはそういうものだと思っている。

心配は尽きない。本当にくじ引きでスタメンを決めるのだろうか? それを見た外国人選手が帰国したり、引退した後に「日本のプロ野球はくじ引きでスタメンを決める」と言って広まりでもすれば、これまでプロ野球界を支えてきてくれた先輩方の顔に泥を塗るようなものだと感じている。

「プロ野球界をぶち壊す」と言っている。新しい時代を作り、野球界が発展するのであれば、それは素晴らしいことだと思う。ただ、新庄監督には壊した後にどういう野球界を作ろうとしているのかが見えてこない。(日刊スポーツ評論家)

ソフトバンク対日本ハム 4回から登板の河野(撮影・黒川智章)
ソフトバンク対日本ハム 4回から登板の河野(撮影・黒川智章)