先発した阪神才木浩人投手(23)は6回2失点と力投し、今季2勝目を手にした。

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才木は今季3試合目の登板になるが、真っすぐも変化球もしっかりと腕が振れている。もともとボールに力があるタイプで、上背を生かし、真上から振り下ろして角度のあるボールを投げられていた。ただ以前は、投球のゾーンが全体的に高く、力任せに投げていた面があった。それが今は制球が定まってきた。特に変化球、フォークやカーブを低めに集められている。3回1死二、三塁をフォークで切り抜けたのが象徴的だった。このピンチをしのいだのが、一番大きかった。

右肘の手術前と比べて、球威が落ちているようには見受けられない。そこに制球力がつき、安定感が出てきた。フォーム的なものは変わらないが、力任せではいけないと、手術、リハビリを経て、見直すことができたのだろう。そういうところが防御率の良さに表れている。

6回は佐藤輝が併殺を取れず、村上に2ランを浴びた。点差があったので、大事には至っていないが、反省は必要。しかしそれは選手起用の面で問題があり、チームの中心打者である佐藤輝や大山のポジションをころころと動かすべきではない。脇を固める選手ではなく、「顔」である。彼らを中心にチームをつくるという姿勢を見せないといけない。バッティングに悪影響を及ぼしかねない。

阪神は貯金2で、ヤクルトと9ゲーム差。おもしろくなってきた。それだけに、3戦目が大事だ。ヤクルトは今後、勝率5割ペースでいい。追いかける立場は、大きく上回る勝ち星が必要で、直接対決はすべて取りにいくことが求められる。この日は点差があっても、リリーフ5人をつぎこんだが、それもうなずける。5ゲーム差にまで接近すれば、逆転優勝が現実味を帯びてくるだろう。(日刊スポーツ評論家)

阪神対ヤクルト 3回表ヤクルト2死二、三塁、才木は山崎を三振に仕留める(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 3回表ヤクルト2死二、三塁、才木は山崎を三振に仕留める(撮影・加藤哉)