ゲーム差なしで迎えた3連戦だったが、ソフトバンクが西武に3連勝を決めた。これでソフトバンクは優位に立ち、西武が苦しくなったのは事実だが、まだ2位以下は混戦。最後までもつれる展開が続くだろう。それにしても、西武の戦いぶりは歯がゆかった。

先発は9連敗中のルーキー隅田。勝てない焦りと、今カードでソフトバンクに連敗している重圧もあっただろう。立ち上がりから高めに浮き、初回に5失点。スタート直後で勝負がほぼ決まってしまった。

悔やまれるのは、どんな対策を立てていたのか、まったく見えなかったこと。いきなり連打を浴びて送りバントで1死二、三塁。そして柳田に死球を与えた。プロで初めてぶつける死球であり、動揺しただろう。デスパイネにはカウント2-1から高めに浮いたスプリットを打たれ、先制の2点タイムリーを浴びた。

1死二、三塁からは、牧原にセカンド後方に落ちる内野安打を打たれて3点目を追加された。この時の内野守備は前進守備。隅田には余裕がないし、まだ初回だった。1点を惜しむより、1アウトを優先させる余裕があっていい。前進守備でなければ、セカンドがキャッチできるハーフフライだった。結局、5点を失ってしまった。

結果論に聞こえてしまうだろうが、柳田に死球を与えた場面で投手コーチがマウンドへ行き、落ち着かせる必要があった。内野の守備位置も「まだ初回。3点はやっていいから後続を抑えよう」とベンチからの指示があれば、結果は変わっていたと思う。

2回以降、無失点に抑えた隅田のピッチングを見ると、余計にもったいなく思う。ボールそのものはいいし、10連敗するような投手ではない。

試合前まで先発13回で初回の失点は7(自責6)。立ち上がりを苦手にしているなら、試合前の投げ込みを多くする。ここまで死球がないのも、内角への厳しい投球ができないからだろう。盗塁も狙われていたように、クイックにも改善の余地があった。

デビュー戦では7回無失点で初勝利をマーク。2ケタ勝利が狙えるだけのボールを投げていた。中継ぎ登板も2度あったが、ここまで連敗しても大一番で先発させてもらっているのは、力を認めてもらっている証拠だろう。まだ1年目とはいえ、連敗した理由を考え、少しでも改善させていかなければいけない。この悔しさを糧に「勝てる投手」を目指してもらいたい。(日刊スポーツ評論家)