西本聖氏(67=日刊スポーツ評論家)が29日の阪神-日本ハム戦(甲子園)で両軍の現状を鋭く分析した。昨季日本一の阪神には「上積み」を感じず、就任3年目の新庄監督率いる日本ハムには「勢い」があるとした。

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前日は雨天中止で、この日が交流戦の初戦となった阪神-日本ハム戦。セとパの2位同士の対戦だが、チームの勢いの差がもろに出た試合になった。

阪神は単純なミスが目立ってしまう。2回表1死一塁、田宮の打球が左翼線へのフライになったが、スライディングキャッチにいった前川のグラブに当てながらキャッチできなかった。スライディングキャッチといっても確実に追いついていた打球であり、これを落としているようでは投手はたまらない。

1死二、三塁になって、内野は前進守備。石井の当たりはショートの右へのゴロだったが、木浪は1回転して送球してバックホーム。回転して投げたため、シュート回転したのだろう。捕手の坂本もキャッチできずに後逸し、二塁走者までホームイン。記録は木浪の野選と失策だが、手痛いミスで2点を失ってしまった。

走塁にもミスがあった。5回裏無死満塁から渡辺のセンターへの大きな犠牲フライで、二塁走者の森下がタッチアップで三塁を狙わなかった。無死であり、中堅・松本剛の捕球体勢からしても、三塁は楽々とセーフ。しかし森下はなぜがハーフウエーで打球を見てしまっていた。ここで三塁まで進んでいれば、1死一、三塁となり、1点差に詰め寄っていた確率は高くなっていた。

今年の阪神には、昨年からの「上積み」を感じない。岡田監督は四球を重視している。これは間違っているとは言わないが、選手の立場からすると、思い切ったスイングがしにくくなる。対戦する投手の立場からしても、振ってこない打者はいやらしさがあっても怖さがない。四球にこだわりすぎると、打線の破壊力は進歩しないと思う。

一方、日本ハムには勢いを感じる。慣れない土のグラウンドでエラーはあったし、手痛いけん制死もあった。しかし、ミスに対して萎縮したように見えなかったのは、ノビノビとバットを振ってくるからだろう。1点差に詰め寄られた直後の5回2死一塁、万波は初球の低めのチェンジアップを2ラン。7回は足を絡めた攻撃も代打策も成功した。8回も6番の田宮、8番の水野がそれぞれ二塁打してダメ押しの追加点を入れた。

新庄監督の就任1年目、とにかくファーストストライクの見逃しに厳しかった。これが強打線を作っていく上での土台になる。いつまでもボール球を振るのも困るが、積極的にバットを振っていけば、打てる球と打てない球が判断できるようになる。1人1人をみると、それほど強打者だと感じる選手はいないが、思い切りバットを振ってくる打者は多い。監督就任して3年目を迎える新庄監督の功績だろう。

同じ2位でも、日本ハムには勢いを感じるが、阪神は何かモタついている印象がある。1四球だが8得点した日本ハムと、6四球でも2得点だった阪神。ミスが目立ってしまう阪神とミスが目立たなかった日本ハム。明暗がくっきり分かれた試合になった。(日刊スポーツ評論家)

阪神対日本ハム 試合前のメンバー表交換で日本ハム新庄監督(左)は阪神のユニホームを着て阪神岡田監督と握手をかわす(撮影・上山淳一
阪神対日本ハム 試合前のメンバー表交換で日本ハム新庄監督(左)は阪神のユニホームを着て阪神岡田監督と握手をかわす(撮影・上山淳一
阪神対日本ハム 7回表日本ハム1死二、三塁、水谷に2点適時打を浴び降板となる島本(撮影・前田充)
阪神対日本ハム 7回表日本ハム1死二、三塁、水谷に2点適時打を浴び降板となる島本(撮影・前田充)