侍ジャパンが韓国との強化試合を1勝1分けで終えた。2戦を通じて、日本が取り組んでいたピッチクロックへの対応はうまくいったのか。日刊スポーツ評論家の宮本慎也氏(55)が、来年3月のWBCに向けた課題をあぶり出した。
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来年のWBCに向け、韓国との強化試合は2戦目を迎えた。前日の試合を含め、1番の目的は「ピッチクロックに慣れる」になるだろう。この試合では、ピッチクロックのタイムオーバーはなく、2戦通じても第1戦の平良だけ。普段の日本の試合と比べても、ピッチャーが投げ終わったあと、プレート付近に戻るまでキャッチャーは返球のタイミングを遅らせていた。ピッチクロックのカウントが、キャッチャーの返球をもって開始されるためで、ピッチャーが慌てて投げる負担を少しでも減らそうとしていた。ただ、これだけで「対応はできている。WBCでの心配無用」とまで言い切ることはできないだろう。
気になったのは3回裏だった。先発の金丸が先頭打者に四球を出した。ピッチクロックは無走者だと15秒だが、走者を出すと18秒になる。投げるまでの時間は3秒長くなるのだが、どう対応するか注目していた。
2球で2ストライクに追い込んだ直後だった。捕手の岸田は外角のボールゾーンに構えていたが、金丸が投げたストレートはストライクゾーンに入った。それを左翼線に二塁打され、二、三塁とピンチは広がり、先制点につなげられてしまった。
ただの失投と片づけてしまえば問題ないが、気になる失投だった。一塁に走者がいる場面で9番の左打者だった。そして2ストライクに追い込んだ直後でヒットエンドランはないし、送りバントも単独スチールも考えにくい。「早く投げなければいけない」という考えが頭の中を支配し、それが失投につながった可能性があると思った。
冷静に考えれば、やってはいけない単純な失投だった。ここで真っすぐを投げるならボール気味の内角で詰まらせるか、外角なら絶対に甘く入らないように投げる注意が必要。単純に9番打者だから「3球勝負でいい」となめただけかもしれないが、ルーキーの金丸が侍ジャパンのメンバーに入って先発した試合。とてもなめたとは考えにくい。ピッチクロックでリズムが狂った失投だった可能性がある。
正直、韓国チームに昔のような強さは感じない。当時と比べて唯一のアドバンテージは、侍ジャパンよりもピッチクロックに慣れているという点だろう。実際、4番打者の打席でダブルスチールを仕掛けて得点を奪ったが、別の角度で見ると「格上のチームに対して奇襲をかける」といった作戦に見えてしまった。
この日の試合は引き分けに終わったが、ピッチクロックに意識が行き過ぎての失投を減らし、以前なら仕掛けてこなかったような奇襲も頭に入れておけば、高い確率で勝てると思う。ピッチクロックに慣れる時間は少ないが、日本の投手陣のレベルは世界的に比べてもトップクラス。焦らず、まずは自分の力を発揮することを最優先に考えて戦ってもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




