伝統と礼節が誇りだ。広島は投手練習でもブルペンに入る投手はユニホームを着用している。Tシャツやトレーナーではなく、試合用のユニホームだ。キャンプの時もそうだった。ブルペンと投内連係では正装が義務づけられている。ブラウン監督時代には短パンで練習を行ったこともあるが、この2つはユニホームを着用していたという。

 いつからだろうと、裏方さんに聞いてみた。32歳の篠田マネジャー、35歳の河内広報、44歳の高橋打撃投手、61歳の石井マネジャー。僕、オレ、ワシらの「時代もそうよ」と口をそろえた。ならばと2軍監督を務めたこともある72歳の安仁屋OB会長に聞いた。「ワシらは支給がアンダーシャツ2枚とユニホーム2枚。洗濯板で自分で洗いよった」。洗濯物を減らすために登板前ですら着替えるのを自重したと教えてくれた。

 結局、明確な答えは出なかったが全員が「試合と同じ条件にするのと、神聖な場だから」と言った。安仁屋氏は2軍監督時代にも服装、礼儀を最重要視したという。「昔の人の思いが受け継がれとるんじゃないかな」。他球団も同様だが、やはり広島には先人の教えがあふれている。【広島担当 池本泰尚】