逆転での開幕ローテ入りを狙うオリックス榊原翼投手(21)の復調気配の陰には「秘密特訓」があった。
3年目だった昨季はプロ初勝利を含む3勝をマークした右腕。今季は先発ローテの一角を期待されていたが、春季キャンプで苦しんだ。「上手に下半身が使えていなかった。本来の投げ方も分からなくなってしまっていた」。投球時に上体が起き上がったりリリースポイントがばらついたりして、アピールどころではなかった。持ち前の熱気あふれる投球は鳴りをひそめた。
そんな時に救いの手を差し伸べたのが、昨季の開幕投手でチーム最多13勝を挙げた山岡だった。「何も相談してなかったんですけど『2人でキャッチボールしよう』と察してくれた。自分の中でも悩みがあった。同期入団の先輩で、気持ちを分かってくれるのはうれしいです」。同じ16年ドラフト入団で榊原の3学年上。普段の練習からキャッチボールのペアを組んでいるが、キャンプ中のランチタイムにごく自然に山岡から「おかわりキャッチボール」に誘われた。室内練習場に2人だけの空間が生まれた。そこで「(投球の)軌道を意識して。自分で決めたレールにボールを乗せて、スッと走らせる感じで」と力感のない投球フォームのヒントをもらった。もやが晴れそうな気がした。さりげない振る舞いに焦りも薄らいだ。
結局、榊原はキャンプ後に2軍降格を命じられたが「下は向きたくない。出直しです」とばらつくフォームの修正に前向きに取り組んだ。3月26日に中日との練習試合では7回4安打無失点にまとめた。開幕日は不透明ながら先発競争に食い込む準備ができてきた。
山岡からの金言を胸にもうマウンドで悩むことはない。「しっかり実戦で結果を出して、開幕ローテに入れるようにしたいです」。頼れる先輩がいる環境では強くなれる。【真柴健】




