鯉の将来の大砲候補がファームで存在感を放っている。2年目の林晃汰内野手(19)は今季ウエスタン・リーグ全48試合に「4番」で出場。打率2割6分6厘ながら、6本塁打、27打点の2部門はリーグトップの2冠だ。林はここまでを「少しずつ長打が出てきていると思う。この調子で、打率も残していけたらいいかなと思います」と明るい表情で振り返った。

高校通算49本塁打のパワーを誇り、名門・智弁和歌山から18年ドラフト3位で入団した。まだ1軍デビューは果たしてないが、2軍で着実に経験を積んでいる。東出2軍打撃コーチ指導の下、今春からオープンスタンスに変更。高い位置だったグリップを下げ、新フォームを固めつつある。

1年目と比べ、打席の中で、引き出しが増えつつあるという。昨季2軍戦は102試合の出場で、打率2割2分5厘、7本塁打、35打点だった。「やれることが多くなった。『これがダメだったらこれを試そう』とか、いろいろ試せるものが多くなった」。試合によって両足の立ち位置や、重心の置き方、バットの出し方に変化を加え、対応力に磨きをかけている。

高校時代の後輩の存在が原動力となっている。1学年下で、楽天にドラフト2位で入団した黒川史陽内野手(19)だ。林が高校3年時に3番を打ち、黒川は6番だった。「(黒川は)めちゃくちゃ意識が高かったです。打撃だけじゃなくて、守備も走塁もすごく練習していた。野球が本当に好きなんだなと思ってました」。2人で毎日のように居残り練習を行い、18年夏の甲子園大会期間中も、宿泊先のホテルで夜中に2人で素振りを行っていたという。

黒川は今月4日に1軍に昇格し、6日オリックス戦(楽天生命パーク)でプロ初ヒット&タイムリーを放った。1軍に上がった際には林に電話があったといい、その後も「嫌みで『全然打てないです』って言ってきました」と笑顔。現在黒川は2軍再調整中で、1軍再昇格を目指している。

後輩の存在について林は「黒川に会えたから自分の野球への意識も変わりました。このままじゃダメだなと思えましたし、尊敬できる後輩だと思います。負けられないです」。プロでは敵チームとなったが、これからも2人の切磋琢磨(せっさたくま)は続いていく。【広島担当 古財稜明】