<SMBC日本シリーズ2020:巨人2-13ソフトバンク>◇第2戦◇22日◇京セラドーム大阪

3年ぶりに、あっさりと博多で歓喜を迎えるのだろうか。ソフトバンクがシリーズ2連勝。完勝と言うべきか、圧勝と言うべきか。打線が3本塁打を含む2ケタ安打を浴びせ爆発。初先発の石川はハイテンポな投球リズムで巨人打線を6回途中まで2失点投球。継投も決まって圧倒的優位な展開で白星をもぎ取った。

これで昨年から巨人に6連勝。シリーズ連勝も10に伸ばし、憎らしいばかりの強さを見せつけている。第3戦からは本拠地ペイペイドームに戻って3試合。この雰囲気なら一気に頂点に駆け上がるかもしれない。

日本シリーズ第2戦に先発し、力投するソフトバンク石川(撮影・前田充)
日本シリーズ第2戦に先発し、力投するソフトバンク石川(撮影・前田充)

ソフトバンクは初戦を含め千賀、石川、牧原、甲斐、周東の育成選手出身が先発メンバーに名を連ねた。11年に「3軍」を組織してからチーム力がさらに増している。毎年、スカウティング用の小冊子のパンフレットを作製。アマスカウトが高校、大学、社会人などを巡りながら持参してチームプロフィルを紹介している。小冊子には工藤監督はじめ、孫球団オーナー、王球団会長もコメントを寄せており、アマ選手に熱いメッセージを送っている。

日本シリーズ第1戦で二盗を決める周東(撮影・横山健太)
日本シリーズ第1戦で二盗を決める周東(撮影・横山健太)

「育成のホークス」といわれる。千賀、甲斐を筆頭に主力に成長する選手を輩出。3軍時代から独立リーグ、大学、社会人、韓国遠征などの実戦機会を多く取り入れるシステムもさることながら、それ以上に成長の源となっているのはチーム内の「競争心」「危機感」だろう。

育成の成長はチーム強化の相乗効果も生んでいる。勝利の方程式の一角を担う岩崎でも「自分の居場所を探さないと」と危機意識を持ってマウンドに立つ。

王球団会長は、育成から1軍までチームに通底する「勝利への意識」に手応えを感じ取っている。

「選手たちが『勝つんだ』という明確な目的を持っているから。誰もうかうかしておれないんですよ。そうなることが(チーム作りで)一番難しいけど、勝つためにやるんだ、とはっきりとした戦いの目標を、選手たちの心の中に植え付けたから」

この日は途中出場の牧原、真砂、川瀬も安打を放った。「昨日より今日。今日より明日」-。監督時代から口酸っぱく日々進化を求めた王イズムが脈々と受け継がれてもいる。【ソフトバンク担当 佐竹英治】