ロッテ佐々木朗希投手(19)が国内高校生歴代最速となる163キロを出してから、4月6日午後2時25分で丸2年を迎えた。

昨年の163キロ記念日は、日刊スポーツ東京本社版3面に「朗希、高3の1年間の全1074球を徹底分析」という検証記事を出稿した。3月30日、この年初実戦の前日の、茨城・石下球場のブルペン。自社保有のスピードガンで投球をこっそり測ったら、いきなり「151」が表示された。これは1年間全球測定せねばとの使命にかられ、何とかやり通した。

自社ガンは捕手の5メートル以内でないと測定できない。固定スピードガンが設置された球場はほとんどない。現場での最初の仕事は、NPBやメジャー球団のスカウトにあいさつすること。頭を下げ、隣や後ろに座らせてもらう。6月2日、佐久長聖(長野)との練習試合ではスカウトが最後部の席だった。1試合丸々しゃがんでスピードガンを拝見。試合が終わり各球団幹部が帰路に。しびれかけた足で追いすがり、日本ハム吉村GMに尋ねると、まさかの1位指名宣言が返ってきた。

夏の大会直前、盛岡一高との練習試合は9回20奪三振の快投だった。幸運にもロッテのスカウト陣だけ来場していた。柳沼スカウトはほぼ真後ろにいる私が確認しやすいように、わざわざ表示後にガンを傾けてくれた。多くの関係者のご配慮の末に、高3時の直球平均球速「147・32キロ」という驚異の数値を算出することができた。

プロ2年目に実戦デビューし、9日までの直球平均球速は約151・01キロだ。スピードガン表示はもちろん、配球も見ていて面白い。2日の2軍戦では、球種判定が難しい球があり佐々木朗本人に確認したところ「あそこは真っすぐ、スラ、フォークですね」と投球から2時間後でも即答。こだわりを感じた。1軍デビュー後は、時に大胆なサインを出す田村と組むことも増える。球速も攻め方もまだまだ出し切っていない。「投手っていうのはこういうもんだ」の概念さえ、いつか打ち破ってほしい。【ロッテ担当=金子真仁】

ロッテ佐々木朗の大船渡高当時の試合のスコアブック(撮影・金子真仁)
ロッテ佐々木朗の大船渡高当時の試合のスコアブック(撮影・金子真仁)