球界を代表する投手となった阪神青柳晃洋投手(28)にとって、まだ越えたことのない“壁”がある。「2桁奪三振」だ。自己最多は昨季6月29日ヤクルト戦(甲子園)で記録した9三振。昨季最多勝と最高勝率の2冠を手にし、今季も12勝1敗、防御率1.39でタイトル量産の期待がかかる中、個人的には意外だった。ただ、本人は「壁」とは思わず、割り切っている。

「(ロッテ)佐々木朗希みたいに毎回毎回2桁三振取りたいですけど、そんなのは無理なので。僕は僕の技量を知っているので、取れたらラッキーみたいな感じです」

「打たせて取れる」という自負があるからこそ、こだわりはない。「三振はゼロで終わってもいいかなと思ってます。それこそ27個ゴロアウトで終わりたい時もありますし、究極で言ったら27球で終わりたい。そういうスタイルなので」。自分の持ち味、強みを理解し、自信を持って試合に臨んでいるからこそ、結果につながっているといえる。

ただ、今季は例年以上に三振を積み重ねている。17試合の登板で、計98奪三振。13日時点でセ・リーグ4位につけ、昨季記録したキャリアハイの104の更新は目前だ。春季キャンプから取り組んできた高低の使い分けに加え、増加の要因の1つとして「キャッチャーの配球」と分析する。

青柳は「勝手な受け取り方ですけど」と前置きした上で、「梅野さんだったら僕の理想に近い全部内野ゴロを打たせるような配球にしますし、(坂本)誠志郎だったら最初から三振を取る過程で、結果がゴロだったという感じだと思う。誠志郎と組む時は三振が多い気がします」と説明。今季青柳先発時の捕手別の三振平均数は梅野が「4.89」で、坂本が「6.75」。確かに数字に表れていた。

何はともあれ、「ゴロキング」の異名を持つ右腕に「2桁奪三振」の能力が加われば、他球団にとってはこれ以上ない脅威となることだろう。【古財稜明】