プロ野球選手の重圧とはいかほどのものなのか-。初めてプロ野球担当になって半年。その過酷さが徐々に分かってきた。

143試合のペナントレース。ポストシーズンに進めば期間は7カ月を超える。連戦に次ぐ連戦で体力、精神力ともに、じわり、じわりと削られていくという。ルーキーならなおさらだ。大卒1年目、巨人赤星優志投手(23)の話から、その苦労がにじみ出た。

「不安しかありませんよ…」。ルーキーイヤーに「先発→中継ぎ→先発」と2度の役割変更を経験。先発復帰に加え、1年目としてプロの重圧に押しつぶされそうになる中、この夏、人生で初めて宝くじを買った。当選すれば1等前後賞合わせ7億円のサマージャンボ。「7億当たったら気持ちに余裕を持って野球ができるかなって」。

「買いすぎると歯止めがきかなくなる」との自制心から、購入したのは10枚で当選金は300円。「全然でした(笑い)。年末ジャンボも狙ってみます」と笑った。

憧れたプロ野球の世界は楽しいかと聞くと深く考えてから「抑えている時は楽しい…。う~ん、楽しいのかな? 分からないです。とりあえず1度、1シーズンを終わりたいですね」と語った。

飛び込んだ新社会になじもうと、わらにもすがる思いで試行錯誤した経験は誰にでもあるはず。巨人の新人もまた、必死でもがいてきた。そして「先発→中継ぎ→先発」という2度の役割変更の期待に応える。

開幕から先発として9試合に登板し、3勝を挙げた後、6月26日ヤクルト戦(神宮)からリリーフとして18試合に登板。8月28日広島戦(マツダスタジアム)から再び、先発陣に戻った。

その初戦こそ勝ち負けは付かなかったものの、9月4日阪神戦(甲子園)は6回、同11日広島戦(マツダスタジアム)は5回を投げともに無失点で連勝。自らの力で重圧を乗り越えた。

1度しかないルーキーイヤー。「プロ野球はどんなところか」。シーズンが終わったら、また聞いてみたい。【巨人担当=三須一紀】