来季から指揮を執ることが決まった新井貴浩監督(45)は現役時代と同様に、“言葉力”で人の心を動かしている。まだ監督となり、数回しか表舞台に出てきていないが、すでにそう感じさせる。

初めて出席したドラフト前日のスカウト会議でもそうだったそうだ。新人監督として即戦力が欲しい中でも「スカウトさんにお任せします」とチーム編成を優先させた。さらに「スカウトさんが見てくれた選手を育てます」という言葉には、全スカウトが感謝したという。きっと1年全国を駆け回ってきた苦労も吹き飛んだことだろう。事前にもらっていた資料や映像を完璧に予習してきたことで会議もスムーズに進行。納得のドラフト指名につながった。

サプライズ登場した新ユニホーム発表会見後には、監督室に坂倉を呼んだ。昨季から捕手と内野の併用が続いていた起用を来季は捕手一本と通達した。「来年はキャッチャー一本。アツ(会沢)と競争してくれ。出ない日もあると思うけど、そのときも代打待機と今は考えている」。

監督との面談前から来季は捕手か内野のどちらか一本で勝負したいと思っていた坂倉にとって、監督が捕手専任をはっきりと明言してくれたことで覚悟が決まった。「すっきりした」と、その日を機に捕手練習に割く時間が増えた。ブランクを埋めるように、精力的に取り組んでいる。

思えば、就任会見は“新井節”全開だった。

「(ファンへ)私たちはみなさんを喜ばせ、みなさんの気持ちを真っ赤に燃えさせるように、頑張っていきたい」

「全員に期待しています」

「寝ていてはうまくならない。しっかりたっぷり、汗は流してもらいたい」

「どんなときでもカープのために、これからのカープが強くなるために、一番にカープのために」

ファンの期待を膨らませ、選手たちにやる気とモチベーションを与える言葉が発せられた。報道陣を笑わせるユーモアも忘れない。監督としての手腕とともに、その“言葉力”にも注目していきたい。【広島担当=前原淳】

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