広島の春季キャンプメンバーが26日、発表された。新人3投手のほか、育成選手の木下が昨秋キャンプの元気の良さを買われて1軍に呼ばれたくらいがサプライズ選出だったかもしれない。ほかに巨人から移籍の戸根、2年目の田村が1軍発進。1軍スタートの中で、目に留まったのは磯村嘉孝捕手(30)の名だった。

今年で13年目。16年から7年連続で20試合以上出場し続けている。捕手としてだけでなく、19年には代打成功率3割2分3厘を残した。1軍に定着しているイメージが強いが、実は春季キャンプの1軍スタートは5年ぶり。3連覇した18年春以来なのだ。

それはある意味、一定の評価を得ている証しでもあった。キャンプでは若手を試しつつ、タイミングを見て1軍に呼ばれるというパターンが多かった。信用されている一方で、位置づけは2番手以降という色合いが強いように感じていた。

5年ぶりの1軍スタートは、実質初めて“正捕手争い”に参戦することを意味する。今年から捕手に専念する坂倉が正捕手候補の筆頭で、実力者会沢もいる。ただ、坂倉は主戦捕手の経験がないだけに、磯村もれっきとした対抗馬だ。新井監督は26日のスタッフミーティング後、「サクラ(坂倉)が捕手専任ということで、会沢も黙ってないでしょう。彼もすごく気持ちが入ってると聞いてますし、経験のある磯村もいますし…」と、正捕手争いに磯村の名前をはっきりと出した。

1月の合同自主トレでは、野手陣から離れ、投手陣とウオーミングアップやキャッチボールを行い、ブルペンでは投球の球を受けた。野手に合流するのは、そこから。自身の調整とともに、投手の理解を深める作業を行っているようにみえた。そんな姿に、昨秋キャンプ打ち上げ時の言葉が思い出された。

「レギュラーをとれるような技術、メンタルを整えて、(春の)キャンプに臨めたらいいなと思います」

坂倉、会沢が注目される正捕手争いに挑む覚悟を決め、2月1日から1軍キャンプへ向かう。【広島担当=前原淳】