やっぱりこの男は頼もしい。ソフトバンクが開幕連勝を飾った完勝ゲームで、6番一塁で先発出場した中村晃がチーム初の猛打賞を放った。ロッテ先発種市の前に初回から5者連続三振。2回2死から第1打席が来た。中村晃はフルカウントから内角低めのフォークボールをうまくさばいて右翼線二塁打。「とりあえず1本出ると気分も違いますからね」。4回の2打席目は右前打。5回無死満塁の場面ではカウント0-2と追い込まれたが、左犠飛を放って貴重な追加点を挙げた。「最低でも外野フライでいいかなと思っていましたし、よかったんじゃないですかね」。そして7回の4打席目。先頭で4番手佐々木千から二塁強襲の内野安打。自身通算66度目の猛打賞で勝利に貢献した。

開幕戦は1四球。快音は響かなかった。「内容は悪くなかったし、この3連戦で1本は打てればと思っていましたから」。不安はなかった。バックボーンになっているのは昨シーズン終盤から打撃スタイルを確立できたことだった。優勝を逃し、CSファイナルでもオリックスに敗れた。悔しさも募ったが、自らの打撃に開眼するものがあった。「オリックスに負けた後、しっかりと感覚を忘れないようにやってきました」。右足を上げず、どっしりと構える打撃スタイルをオフの間も体に染み込ませた。新加入の近藤も打撃の手本とする男だが、プロ16年目にして初めて経験する感覚だった。「プロに入って初めてじゃないですかね。今までは、ずっと(打撃を)どうしようどうしようと考えてきたけど、それがない」。昨年は開幕からタイミングの取り方を何十通りと変え、表情を曇らせることが多かったが、今は気持ちも充実しているようだ。

今年1月の福岡自主トレでは背水の気持ちを吐露した。「ここ数年、あまり成績もよくないので、ダメだったら終わりという覚悟でやっています。打てなかったら終わりですから」。思い返してみれば、自信の裏返しだったのかもしれない。打撃のみならず、守備への向上心も忘れない。新外国人アストゥディーヨの加入もあったが、しっかり一塁の定位置も確保。V奪回へ攻守に頼れる存在であることは間違いない。

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ソフトバンク対ロッテ 5回裏ソフトバンク無死満塁、中村晃は右犠飛を放つ(撮影・梅根麻紀)
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ソフトバンク対ロッテ 5回裏ソフトバンク無死満塁、中村晃は左犠飛を放つ(撮影・岩下翔太)
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ソフトバンク対ロッテ 7回裏ソフトバンク無死、中村晃は内野安打を放つ(撮影・冨田成美)
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