今季からヤクルトを担当する記者にとって、不動の4番村上宗隆内野手(23)が71試合目にしてスタメンを外れた光景は、真新しかった。左膝痛が原因のため望ましいことではないが、ベンチでの立ち振る舞いが明らかにスワローズナインの雰囲気を変えた。

神宮のヤクルトベンチに向かって左端にあるカメラ席とを隔てる柵に、もたれながら大声を張り上げる村上。その存在感たるや、とても23歳とは思えない貫禄。ベンチ向かって右端の椅子に高津監督という「ボス」が座っているのに、左端の55番に「ボス感」が漂う。つまりベンチの両ウイングから…、いや、レフトウイングからの威圧感が半端ない。

1日広島戦の先発だったピーターズがストライクを取ると「ナイスボー、ナイスボー!」という声が、ガラス窓が閉まっている記者席まで届く。サンタナが本塁打を放てば真っ先にベンチを飛び出し、手もみをしながら恒例のハイタッチならぬ相棒との「アンダータッチ」を待った。代打準備に入る終盤前まで村神様あらため“GOD BOSS”の声出しは続いた。

普段は高津監督のほぼ前の椅子に座る村上。だからこそ「なんか、いつもいるところにいないと気持ち悪いですね(笑い)。斜め前に立っていると、僕の座っているところから(グラウンドが)見えにくい(笑い)。何か違和感はありました」と指揮官。もちろんそれは高津節の褒め言葉。本音は「よく声を出してね、元気だった。(ベンチワークで)貢献したんじゃないかと思います」と、左膝痛で不本意ながらもスタメンを外れた主砲の裏方役に目を細めた。

4番三塁でスタメン出場する普段も、味方の攻撃時は声を張り上げる村上。3冠王を取った昨季も、チーム貢献を第一に考え、ベンチのムードメーカーに自らなった。今回は3冠王による守備時での声出し。味方のみならず、敵チームもプレッシャーを感じただろう。チームは見事、7月初戦かつシーズン半分の71試合目を勝利し、最下位からの3連覇という超偉業へ、再スタートを切った。【ヤクルト担当=三須一紀】

ヤクルト対広島 1回裏ヤクルト2死一、三塁、先制3点本塁打を放ったサンタナ(中央)を祝福する村上(2023年7月1日撮影)
ヤクルト対広島 1回裏ヤクルト2死一、三塁、先制3点本塁打を放ったサンタナ(中央)を祝福する村上(2023年7月1日撮影)