9月7日に2リーグ制後最速でリーグ優勝を決めた阪神。シーズンの大半を1軍で過ごすも出場が8試合にとどまった選手がいる。阪神栄枝裕貴捕手(27)だ。

シーズン中盤の7月。雨天で練習を室内練習場で行っている際、ウオーミングアップ中に先発投手と横並びになって歩きながらコミュニケーションをとっていた。雑談をしているだけかもしれないとも思いつつ、何を話していたか気になりたずねると、第3捕手として待機し続けてきた背番号39の準備力の高さがうかがえた。

「僕は実際に試合に出て受けていないので、どんな感じなのかなという感覚をすり合わせておかないといけない。守った時に勝手なこっちだけのイメージで組み立てたりしてしまうと、ピッチャーと違う部分が出てくる。出てなくても話して、どういう意識で投げていたのかすり合わせる必要はあるのかなと思います」

今季は開幕1軍スタートで、4月3日DeNA戦ではプロ初のフル出場も3打席無安打でチームは敗戦。ノーゲームになった試合を除き、次の出場は6月1日広島戦と約2カ月後だった。その後の約2カ月間も2試合の出場のみで8月4日に初の出場選手登録抹消。同19日に1軍復帰し9月19日に抹消も今月2日に再度1軍に戻ってきた。1カ月以上1軍を離れることはなかったが、ほとんどがベンチスタートのシーズン。「本当にいつどういう出番がくるかわからないので準備をしているだけです」。準備は欠かさず続けていた。

目についたのは会話だけではない。先発投手のキャッチボール中には中腰でネット越しに投げられた球を凝視していた。

「球筋は大体わかっている。状態が出るのはピッチングだけじゃない。キャッチボールでいいところに投げられていたら、いいピッチングやいい球につながる。そのときの1回前の登板で村上がやられていたので気になって見ていました」

ベンチスタートでも急にくるかもしれない出番に備えてできることを最大限している栄枝。その姿は野球選手だけでなく、どんな人も見習わなければいけないだろう。【阪神担当=塚本光】

韓国ハンファ対阪神 2回表阪神無死一塁、投前への送りバントが内野安打となった栄枝(撮影・岩下翔太)
韓国ハンファ対阪神 2回表阪神無死一塁、投前への送りバントが内野安打となった栄枝(撮影・岩下翔太)