両リーグをチェックしていますが、あらためて救援陣の力量がチーム成績を大きく左右することがわかります。前回のチェックでは、ヤクルトは救援陣の疲弊から順位を下げたと評論しましたが、広島の苦戦の原因も同じく救援陣です。

7月、ヤクルト戦で広島スコット(中央)は村上に左中間へのサヨナラ満塁本塁打を許しベンチへ引き揚げる
7月、ヤクルト戦で広島スコット(中央)は村上に左中間へのサヨナラ満塁本塁打を許しベンチへ引き揚げる

開幕から機能しませんでした。スコット、D・ジョンソン、フランスアの外国人選手が結果を出せなかったのが響きました。中でも抑えの失敗が開幕ダッシュ失敗に直結しています。6月、7月でサヨナラ負けが4度。ここまで計5度のサヨナラ負けは、リーグ最多です。それに次ぐのは阪神、ヤクルトの2回ですから、広島の救援失敗は突出しています。8度の引き分けも、追いつかれて延長引き分けのパターンが目につき、広島低迷の根本的な要因と言えます。

セ・リーグの他球団に目をやるとDeNAは三嶋、エスコバーが、中日は祖父江、R・マルティネスが支えています。上位球団の巨人、阪神も同様です。広島の救援陣は6勝10敗、11セーブ、37ホールド。ホールド数ではDeNAが65、巨人、ヤクルトが63、中日50、阪神43ですから、広島の苦戦ぶりは数字にはっきり表れています。先発も大瀬良、K・ジョンソンがチームを引っ張るピッチングができず、ルーキーの森下が孤軍奮闘。ルーキー頼みで上位に食い込むには無理がありました。

打線では4番の鈴木誠が3割、18本塁打、48打点と軸としてけん引しています。そしてプロ11年目の堂林が結果を出しているのが光ります。また現在は抹消中ですが、西川が3割1分8厘。チーム打率2割6分6厘は巨人をしのいでリーグ2位。上位に食い込める攻撃力を秘めるだけに、よけいに救援陣の脆弱(ぜいじゃく)さが目につきます。

今季はセ・リーグにCSはありません。16年から3連覇しましたが、昨年は4位でCSも逃し、今年も大きく負け越しての5位に低迷。打線の主力はほとんどがまだ30歳前後で、まだまだ期待は持てます。それだけに、広島は救援陣の整備が急務です。広島は上位に食い込み、激しいペナントレースの主役を張る役目を担ってもらいたいです。(つづく)

里崎智也氏
里崎智也氏

◆YouTuber里崎氏の「里崎チャンネル」(登録者数約36万人=12日現在)は、「プロ野球の上下関係」など、外部からはうかがい知れないプロ野球界の実情も話題にしている。