17年ドラフト1位でプロ入りしたソフトバンク吉住晴斗投手(21)にとって、4年間のプロ野球生活は苦しいことの方が多かった。

6月、力投するソフトバンク吉住
6月、力投するソフトバンク吉住

期待を背負いながらも、3年目まで1軍登板なし。そのオフに初めての戦力外通告を受けた。球団からは育成選手としての打診もあったが、そのまま現役を離れるつもりだった。だがそこで、大きな出会いがあった。吉住のニュースを見た米大リーグ、パドレスのダルビッシュから電話で激励されたことで、育成選手として現役を続けようと翻意した。

ソフトバンク吉住の年度別2軍成績
ソフトバンク吉住の年度別2軍成績

4年目の今季は、自主トレ時点でサイドスロー転向を模索するなど、心機一転でもがいた。最後まで1軍昇格はかなわず、このオフに2度目の戦力外となったが、吉住の心は晴れやかだった。「最後の1年やったのは良かったと思います。自分でやると決めて、ダメでもしょうがないくらいの気持ちで思い切りやれた。やめた後の気持ちもだいぶ違ったなと思います」。壁にぶち当たり、心が折れかけていたところから立ち上がり、燃え尽きるまでやったと胸を張れるラストイヤーだった。

21年ソフトバンク退団選手
21年ソフトバンク退団選手

今後は球団職員として、野球振興部で小学生の指導や野球の普及活動にあたる予定だ。「ホークスに残りたい気持ちが強かった。選手としてあまり活躍できなかったので、何か他の形で貢献したいと思いました」。野球振興部は今年12月に課から部へと昇格し、球団としても力を入れている部門。子どもたちへの指導ノウハウなどを、プロチームにも生かそうと可能性を探っているところだ。吉住は「ずっとしんどい思いをしながら野球をやってきた。小、中学生には野球を楽しんでやってもらえるようにしたい」。苦しんだ経験を、今後の人生に生かす。【山本大地】