「球児たちの夏」が終わった。高校球児たちの挑戦を、間近で見て、聞いて、思ったこと。担当記者たちが回顧録として記す。

21日、神村学園戦の3回、斎藤の三犠打野選で本塁へ生還する仙台育英・山田(中央)
21日、神村学園戦の3回、斎藤の三犠打野選で本塁へ生還する仙台育英・山田(中央)

今年の甲子園でも審判にスポットライトが当たった。悪い意味で、だったのが本当にやりきれない。準決勝の仙台育英-神村学園の3回。仙台育英の勝ち越しセーフティースクイズで王者に流れが傾いた。

微妙なタイミングだった。記者席から生で見ていたが、遠目には判断できなかった。一番近くにいた球審はセーフと判断した。「リクエスト制度」「リプレー検証」がない以上、審判が下したジャッジを最終とするのは野球の大原則だ。

納得しがたい判定も「野球の一部」として本来は消化すべきなのだが、それで得心することが難しい時代になっている。何十台ものカメラが選手の一挙手一投足を追い、客席からも無数のスマホが向けられる。ネット上にはビデオや静止画を示して「俺は正解を知っている」と、したり顔で審判を責める人であふれている。審判だけでなく、勝利チーム、敗北チームの心にも澱(おり)を残すことになるだろう。神奈川大会決勝でも勝敗にかかわるジャッジが話題になった。

審判をめぐる近年の風潮としては、明らかなミス(勘違いなど)は速やかにジャッジ訂正がなされるようになった。謝罪を含んだ場内アナウンスもめずらしくない。だが、アウト・セーフなどの判定変更は難しい。やはり、高校野球にもリクエスト制度を導入すべきだと提案したい。

関係者によると、甲子園大会でのリプレー検証導入は運用上は難しくない。ただ甲子園で解禁すると、「地方大会の決勝でも」という声が間違いなく上がる。甲子園がかかった地方大会の方がワンプレーの重みがある場合もあるからだ。だが、すべての地方大会でリプレー検証をやるのは現実的ではないという。費用面、人員面の問題が大きいのが最大の理由だ。サッカーでも同じ理由で、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)はJ1、日本代表などトップカテゴリーの試合に限られている。

また、リプレー検証導入によって審判の腕前が白日の下にさらされるリスクもある。同じ審判のジャッジばかりがリプレー検証の対象になったとしたら…。審判を守るための制度が、余計に追い詰めてしまうのでは。このことを真剣に危惧する関係者も存在した。

ただ、地方大会によってルールの運用規定を変えているように、主催者側は弾力的に対応できる素地を持つ。できる地区からやってみればいいし、甲子園も例えば1大会限定で試したらどうか。前向きな議論を期待したい。【柏原誠】