もし7イニング制で地方大会が行われていたら…。甲子園出場が決まった49校のうち13校が地方大会で姿を消していた。その中には春夏連覇を目指す横浜(神奈川)や夏連覇を狙う京都国際(京都)も含まれていた。
高校野球では今、7イニング制導入へ向けた動きが加速している。日本高野連は、今秋に滋賀で開催される国民スポーツ大会(国スポ)では硬式、軟式ともに7イニング制を導入することを決定。国内主要大会では初めての試みだ。夏の酷暑対策や障害予防の観点から昨年から本格的に検討を重ねられ、年内に対応策をまとめることになっている。なおU18国際大会ではすでに7イニング制が導入されている。
そこで今夏、29日に終了した地方大会が、もし7イニング制で行われていたら…。果たして結果はどうなっていたのか検証してみた。初戦から決勝まで、7回を終えた時点でリードしていたのか、同点なのか、ビハインドだったのか、調べた。
結果、上記の通り49校中13校(約27%)がビハインドを許し敗退。全試合7回までリードしていたのは24校(約49%)。残る12校(約24%)は7回終了時点で同点の試合があった。
【ビハインド=13校】
旭川志峯(北北海道=北大会準決勝)北海(南北海道=南大会1回戦)弘前学院聖愛(青森=決勝)聖光学院(福島=準決勝)青藍泰斗(栃木=決勝)横浜(神奈川=準々決勝)津田学園(三重=初戦)小松大谷(石川=決勝)綾羽(滋賀=準決勝)京都国際(京都=決勝)広陵(広島=決勝)宮崎商(宮崎=準決勝※決勝も)神村学園(鹿児島=準決勝)
◇横浜は準々決勝で平塚学園と対戦し7回終了時点で2-4と2点のビハインド。8回に1点差に迫り9回裏2死二、三塁から阿部葉の2点適時打で逆転サヨナラ勝ち。
◇京都国際は決勝の鳥羽戦で7回を終え1-2と1点のビハインド。8回表に3点目を奪われたがその裏、2点を奪い同点。9回裏無死一、三塁から猪股がサヨナラ安打を放ち優勝を決めた。
◇津田学園は初戦(2回戦)の白山戦で大苦戦。2回に2点を先制された。4回に1点を返すも7回を終え1-2。それでも土壇場9回裏、2死二塁から連続適時打で逆転サヨナラ勝ち。
【同点=12校】
日大山形(山形=準々決勝)健大高崎(群馬=決勝)明秀日立(茨城=決勝)市船橋(千葉=決勝)日大三(西東京=準決勝)豊橋中央(愛知=準々決勝)東大阪大柏原(大阪=5回戦、準決勝、決勝)鳥取城北(鳥取=準決勝)済美(愛媛=決勝)高知中央(高知=準決勝、決勝)創成館(長崎=準々決勝)明豊(大分=決勝)
◇健大高崎など7校が決勝戦で7回終了時点で同点。どちらに転んでいてもおかしくはなかった。
【リード=24校】
金足農(秋田)花巻東(岩手)仙台育英(宮城)叡明(埼玉)関東第一(東東京)山梨学院(山梨)松商学園(長野)中越(新潟)未来富山(富山)敦賀気比(福井)聖隷クリストファー(静岡)県岐阜商(岐阜)東洋大姫路(兵庫)天理(奈良)智弁和歌山(和歌山)岡山学芸館(岡山)開星(島根)高川学園(山口)鳴門(徳島)尽誠学園(香川)西日本短大付(福岡)佐賀北(佐賀)東海大熊本星翔(熊本)沖縄尚学(沖縄)
◇24校のうち7回まで全試合で3点以上リードしていたのは花巻東、敦賀気比、県岐阜商、東海大熊本星翔の4校。横綱相撲で甲子園切符をつかんだ。
◇金足農と叡明は8回以降に追いつかれた試合があったがタイブレークで勝利。
もちろん9イニング制と7イニング制では戦い方が変わってくるため、この結果をすんなり受け入れることはできない。高校野球では終盤の8、9回にドラマが起こりやすい。今夏は49地区の決勝戦のうち11地区で延長タイブレーク決着となったように最後まで何が起こるか分からない。
さらに全国大会の甲子園には「魔物」が潜んでいるとも言われる。7イニング制になれば「魔物」は現れないのか。それとも6、7回あたりに予定を早めて登場するのか。
勝負事の鉄則は「先行逃げ切り」。高校野球は一発勝負のトーナメント。逆転のチャンスが減る7イニング制ではこれまで以上に先制して逃げ切る試合運びが重要になりそうだ。
Grok(AI)に7イニング制のメリットとデメリットを尋ねてみた。
<メリット>
◇選手の負担軽減 9イニングに比べて試合時間が短縮され、投手や選手の体力消耗が抑えられる。特に連戦が多い大会では、疲労や怪我のリスクが低減。
※試合時間の短縮 試合時間が短くなり、スケジュールが組みやすくなる。観客や運営にとっても効率的で、放送や会場運営の負担が軽減。
◇戦略の変化 短いイニング数により、監督や選手はより積極的な戦略(投手交代、攻撃のリスクテイクなど)を取る可能性があり、試合がスピーディーで緊張感のある展開になりやすい。
◇若年層への配慮 高校生は成長過程にあるため、過度な負担を避けることで健康面や将来のキャリアを守りやすい。
<デメリット>
◇試合の短さによる不完全燃焼 9イニングに慣れている選手やファンにとって、試合が短く感じられ、物足りなさや「試合が決まる前に終わった」感覚が生じる可能性。
◇投手の起用法の制限 短いイニングではエースを温存する戦略が難しくなり、投手の起用や登板間隔の管理が複雑になる場合がある。
◇伝統との乖離 高校野球は9イニング制が標準であり、7イニング制は伝統や歴史との整合性が取れず、ファンや関係者に違和感を与える可能性。
◇逆転の機会減少 イニング数が減ることで、終盤での逆転やドラマチックな展開が減少し、試合の魅力が一部損なわれる可能性。
さらにGrokに7イニング制と9イニング制、どちらがいいかを聞いてみた。
「高校野球においては、選手の健康と安全を優先するなら7イニング制が優れている。特に夏の甲子園のような過酷な環境では、短いイニング制が選手の負担を軽減し、ケガのリスクを抑える。一方で、試合のドラマ性や伝統を重視するなら9イニング制が適している。現在の高校野球の環境(球数制限や健康管理のトレンド)を考慮すると、7イニング制への移行が現実的かつ選手にとって有益だと考えられる。ただし、ファンや関係者の理解を得るため、段階的な導入(例:地方大会での試験運用)や、9イニング制の魅力を補う工夫(例:タイブレークの活用)が必要だろう」
7イニング制導入について、日本高野連は年内に対応策をまとめるという。同じく検討されていたDH制は来春センバツから導入される見通しとなった。高校野球が、大きな変革期を迎えているのは間違いない。【デジタル編集部 福田豊】




