26日の日曜はスポーツ好きの関西の人々にとってはうれしい1日だったかもしれません。

昼間の大阪国際女子マラソンで松田瑞生(24=ダイハツ)が2時間21分47秒の好タイムで優勝、東京オリンピック(五輪)代表に大きく近づきました。

夕方には大相撲初場所で徳勝龍(33=木瀬)が“幕尻”という下位からのまさに下克上とも言うべき初優勝を果たしました。

結果もともかく、うれしかったのは2人の“しゃべり”でした。松田は大阪出身、徳勝龍は奈良出身とともに関西人。どちらも地元の言葉丸出しで観衆を喜ばせました。実に関西テイスト抜群でした。

大阪に住むこちらにすれば耳慣れた言葉ですが、テレビの全国ネットのスポーツ中継からそれが聞こえてくると、思わず笑ってしまいました。

なにしろ大阪を中心にした関西では今も昔も「しゃべり」(あえてトークとは言いません)が重要とされます。吉本興業などのお笑いを持ち出すまでもなく、かっこいい、頭が良い、スポーツができる以上に「おもろい」というのは最大級の褒め言葉です。

もちろん関西以外の方でも面白いな~と思う人はいくらでもいますし、逆に関西人でも面白くない人はいくらでもいます。それでも人前に出る以上「なんとか笑かす」(笑わせる)ようとするのは関西では最低限のマナーとも言えます。

ここまで書いて、さあ、阪神タイガースです。西宮市の甲子園球場を拠点とするバリバリの関西チーム。しかし、この阪神、以外に関西っぽくないのです。野球に詳しくない方はひょっとして誤解されているかもしれませんが阪神で活躍した選手は関西人でない場合が多い。

いわゆる「ミスター・タイガース」とされる藤村富美男、村山実、田淵幸一、掛布雅之の各氏のうち、関西人は神戸出身の村山氏だけです。

もちろん京都出身の吉田義男氏や尼崎(兵庫)出身の江夏豊氏といった方々もいますが、昔からそれほど関西人中心のチームという感じではないし、ベンチでコテコテの関西弁が飛んでいる…という状況はあまりありません。

むしろ巨人の方が関西色は強いと思います。清原和博氏、桑田真澄氏の「KK」は言うまでもなく、現在の中心選手・坂本勇人、岡本和真など関西人が多いのです。

かつて原辰徳監督は「この世界(プロ野球)の共通語は関西弁でしょ」などと言っていましたが、野球どころの関西で育った一流選手は巨人を中心に関東の球団に入っている印象が強いのです。

それでも時代は変わります。今季、阪神にはドラフト2位で履正社から井上広大が入りました。そして、復活が待望される藤浪晋太郎も大阪人です。こういう選手たちがシーズンで暴れれば、これは、もう楽しい。もちろん指揮官の矢野燿大も監督も大阪出身です。

一気に噴出したスポーツ界の関西人ブーム? に阪神も乗ってくれれば…。キャンプを前に、ちょっとローカルな妄想を広げています。

1月26日、木瀬部屋での祝勝会でおどけた表情で乾杯する徳勝龍
1月26日、木瀬部屋での祝勝会でおどけた表情で乾杯する徳勝龍