やはり「日本一」は特別なんだ。そう強く思ったのが11月25日に開かれたOB会総会のこと。ファン感謝デーの後、大阪市内のホテルで4年ぶりの開催となった。出席したのがOB、関係者の230人。昔の総会とはまったく違う景色がそこにあった。

成績が伴わないと、OBも出席をためらったのだろう。チームと同じように、OBも鬱積(うっせき)した思いがあった。それが今回の38年ぶりの日本一。OBや球団OBも胸を張って、誇らしげに顔を出すことができた。そんな空気が流れていた。

そもそもOB会というのは、チーム、球団に対し、決定権を持つものではない。あくまで親睦団体と考えればいいのだが、その内情はなかなか複雑。長い歴史を持つ球団だけに、それぞれの心情もあって、非常にまとまりが難しい団体であった。

そのOB会の会長に就任して13年。川藤幸三は、それなりに奔走して、まとまっての球団支援を各OBに求めてきた。その間、確かに冷ややかな声も出た。東の巨人OB会長が王貞治だった時代、世界の王に対して阪神は春団治かい…といったものや、実績のない会長でいいのか? なんて、それは川藤の耳にも届いていた。

それでも川藤はこのポジションを続けた。他になり手がなかったこともあったが、みんなが敬遠した中、長い期間、OB会の存在意義を訴え、活動してきた。そんな川藤が来年限りで会長職を辞することを明かしたと聞いた。今回の日本一が、節目になるのか。あと1年で後任を見つけ、譲るとの考えを示した。その後任候補に挙がったのが掛布雅之とか。いよいよ大物OBの登場といったところか。

1955年生まれの掛布は68歳になった。レジェンドと呼ぶにふさわしい。栄光の現役時代だったが、彼は1軍監督候補にいつも挙げられながら、実現せずにここまできた。心中はいつも複雑、モヤモヤしたものがあったと思うが、次期OB会長の候補としては誰も異論はないだろう。

常に掛布と岡田は比較され、同じ時代に生き抜いた2人が監督とOB会長という立場で接することになるかもしれない。これも時代の流れ…ということだろうし、オールドファンは昔を懐かしむに違いない。

そういえば何年か前、「OBとしてチームをバックアップしていこう」という趣旨で、大物OBが集まったことがあった。川藤幸三に中村勝広(故人)、掛布雅之に岡田彰布の4人。当時の監督が金本知憲だったが、OB4人はグラスを傾け、タイガースの後方支援を語り合っている。

だから岡田は自分が監督になった時、OBが自由に、気軽にグラウンドに入れる環境をつくることを約束し、その通りにOBを大事に受け入れた。これまで、それぞれの思惑が乱れ、なかなかスムーズに運営できていなかったOB会もようやく形が築かれてきた。

それを象徴する今回の総会だった。吉田義男が元気に姿を見せ、田淵幸一らのレジェンドが笑い、2003年、2005年のリーグ優勝時の比較的若いメンバーも出席していた。伝統球団らしさを見ることができたのだが、そこに金本、矢野の歴代監督が出席していなかったのが、少し気になったのだが…。

いずれにしてもOB総会を盛大に開催できたこと。これも球団の歴史に刻まれていくことになる。【内匠宏幸】(敬称略)

25日、阪神OB会に出席した川藤幸三OB会長(左)と田淵幸一氏
25日、阪神OB会に出席した川藤幸三OB会長(左)と田淵幸一氏
25日、阪神OB会に出席した掛布氏(右)と川藤OB会長
25日、阪神OB会に出席した掛布氏(右)と川藤OB会長