<イースタンリーグ:DeNA1-1巨人(延長11回)>◇17日◇横須賀


プロ18年目の巨人・松田宣浩内野手(40)はファーストに入り、今までと同じように、はつらつと動き、声を出していた。

 ◇ ◇ ◇

この試合では誰が打ったか、投げたか、という視点ではなく、試合を見ながら思うがままにリポートを書くことにした。それは、常に大声が球場に響いていたからだ。

私は親しみを込めて「マッチ」と呼んでいる。ソフトバンクのコーチ時代、マッチはバリバリのレギュラーだった。サードからいつも大声を張り、攻撃になるとベンチで味方打者のボール、ストライクの判定1球ごとに仲間を鼓舞していた。

全盛期を知るだけに、ファームのマッチはどんな表情で練習しているのかなと、気になっていた。打撃練習をしていたマッチは私に気が付き、金網のバックネット越しに短く言葉を交わした。

マッチ 田村さん、お久しぶりです。

田村さん 元気そうだな。早く上に上がれるようにな!

マッチ はい、頑張りますよ。

田村さん うん、頑張れよ。

マッチ 田村さん!

田村さん ん?どうした?

マッチ 僕、40歳になりました!

田村さん そうか!おめでとう。でも、まったく変わらない、昔のままだな。安心したよ。

マッチ はい、ありがとうございます。じゃあ、また。

田村さん ああ、またな。

試合では2番ファーストだった。慣れないファーストで、ずっと大声を出していた。1球ごとにピッチャーを励まし、アウトカウントを確認し、「さあ、行こう!」とチームを盛り上げる。

その声に集中していると、ソフトバンクでレギュラーだったころのマッチの声がよみがえってきた。あのころは、今よりもさらに大きな声だった気がする。

40歳にもなれば、声量が少しは衰えるのかな、とも思うし、逆にそのスタンスがみじんもぶれないマッチの軸の太さに、しみじみと個性的な選手だなと感じ入る。

巨人ではマッチのようなタイプはいたかなと、考えてみた。近いのは中畑さんか。明るく、前向きで、チームのことを考えて盛り上げようとするその姿勢は、中畑さんにしろ、マッチにしろ、とても貴重な存在だ。

ソフトバンクで戦力外となり、巨人に移籍し、開幕1軍。4月中に登録抹消となり、こうしてファームでの調整が続いている。いつか、昇格のチャンスは巡ってくるかもしれないし、まったくどうなるか分からない部分もある。これは、プロ野球ならば、どこの球団でも例外なくあり得る厳しい現実だ。

味方の攻撃に入ると、やっぱり1球ボールが宣告される度にベンチから声を出し、手をたたいてバッターを乗せていく。手抜きはない。というか、それがマッチの生き方なのだろう。

常に全力で声を出し続けて、試合にのめり込んでいく。1軍に昇格できそうだとか、できそうもないとか、そこでマッチのスタイルは変わらないのだと。試合でやり抜く姿勢に、マッチの生きざまを見せてもらった思いがした。

この試合では第3打席、初球のスライダーを打って、左翼へホームランを放った。

通算1832安打、二塁打333本、本塁打301本。強打の右打者は、40歳になり、変わらずに声を張り続けていた。(日刊スポーツ評論家)