<U18W杯:日本4-3米国>◇3日◇1次ラウンド◇台湾・台北市立天母野球場

今夏の甲子園大会を現地で取材した田村藤夫氏(63)のU18W杯リポート編。開幕からスペイン、パナマに連勝した日本は、強豪米国との大一番を迎えた。

先発した左腕・前田悠伍投手(3年=大阪桐蔭)は5回2/3を散発4安打8奪三振での無四球ピッチング。打者20人に対し84球で無失点に抑え、前回王者米国から白星を挙げた。

4点リードの6回裏は2死から二塁打を許し降板。救援した安田虎汰郎投手(3年=日大三)が後続を三振に仕留めた。最終回に1点差にまで追い上げられたが、そのまま逃げ切った。

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日本代表にとって1次ラウンドで最も重要な試合で、前田が見せたピッチングは非常に冷静かつ、内容のあるものだった。

最速143キロ。本来ならば150キロ近い球速が期待できるところだが、全力で投げているようには見えなかった。制球重視でしっかりコーナーに投げ分けていた。

カーブ、スライダー、チェンジアップでそれぞれ三振を奪っていた。私にはフォークを投げていたのか、チェンジアップだったのか見分けがつかなかったものの、確認できた3球種はいずれもカウント球としても、勝負球としても精度の高い球質だった。

右バッターには内角への真っすぐと外角へのチェンジアップ、左バッターには外角の真っすぐと、スライダーという組み立てだった。右バッターには内外角を使っていたが、左バッターに内角球を使ったのは1球だけ。その点からしても幅は使えていなかった。

打たれたヒット4本のうち、真ん中低めを狙った変化球が高めにいって打たれたものが2本。外寄りの真っすぐが高めに入って打たれたものが2本。4本すべて左バッターに打たれたのは、内角を有効に使えていなかったことも要因としてあると感じた。

前田の冷静さを感じたのは4回だった。先頭打者に二塁打を打たれ無死二塁。続く打者の投ゴロで二塁走者の挟殺プレーに入ったが、そこで本来なら2死走者なしとなるところで、審判団の判定を巡り15分ほど待たされる展開に。

2死走者なしからの再開となったところで、5番DHに対して圧巻のピッチングを披露した。

初球 外へのチェンジアップを空振り

2球目 外へのチェンジアップがファウル

3球目 外への真っすぐがボール

4球目 外への真っすぐがファウル

5球目 外のチェンジアップがボール

6球目 内角へのチェンジアップがボール

7球目 内角低めの真っすぐで見逃し三振

こうしたところに、前田の完成度の高さが感じられる。しっかり相手打者の反応を見ながら、しっかり外角のボールを意識させながら、最後の最後にきっちり制球した見事なインローで見逃し三振は、ベストの結果と言えた。

1次ラウンドでの米国戦は絶対に落とせない試合だった。その意味をよく理解した内容で、しっかり6回途中まで無失点に抑えたピッチングは言うことはない。無四球という内容も見事だった。

今後の前田を考えた時は、やはりドラフト上位指名が現実味を帯びてくる。おそらく、今後登板すれば、真っすぐは140キロ後半を出しつつ、この日のように変化球を交えたピッチングを見せてくれるのではないか。

今後へ向けて期待値が上がるピッチングだった。(日刊スポーツ評論家)

日本対米国 力投する日本先発の前田(撮影・柏原誠)
日本対米国 力投する日本先発の前田(撮影・柏原誠)
日本対米国 3回裏米国の攻撃を抑えてベンチに戻る日本の前田(左)と寺地(撮影・保坂恭子)
日本対米国 3回裏米国の攻撃を抑えてベンチに戻る日本の前田(左)と寺地(撮影・保坂恭子)