2022年、最も印象に残った球児の1人だった。愛工大名電(愛知)の山田空暉(てんき、3年)選手。4番打者として臨んだ3年夏は激戦の愛知大会を突破。甲子園では投打の活躍で8強に進んだ。

大きな体を伸びやかに使うプレーは甲子園のグラウンドに映えた。投手としては最速145キロの快速球に超スローカーブまで繰り出し、話題になった。マウンド上で楽しそうに笑う姿は、ファンの記憶にも刻まれたに違いない。

プロ入りが幼少期からの目標。迷わずプロ志望届を出した。ドラフト当日、寮で14人の3年生とともにテレビ中継を見た。似たような名前が呼ばれると仲間から声が上がっては、ため息に変わったが、ショックはなかった。育成契約でもという強いプロ志望とは裏腹に「指名されるとはあまり思っていなかった」と認める。それが今の実力だ。

高校ではほぼ打者としてプレーしていたが、将来性は投手にあると判断し、甲子園から帰ってから投手の練習を本格的に始めた。足腰は目に見えて大きくなった。少しでも早くプロの世界に飛び込むため、選んだ進路は1年目からドラフト指名を受けることができる独立リーグ。四国IL・愛媛で腕を磨く。

「小さいころからすごい飽き性だったんですが、野球だけは飽きることがなかった。絶対に1年後、プロに行く。その気持ちは強いです」。前向きに話す笑顔は甲子園のときと変わっていなかった。【柏原誠】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「野球手帳」)

愛工大名電・山田空暉(2022年8月18日)
愛工大名電・山田空暉(2022年8月18日)