妙な表現をすれば“3位転落にふさわしい完敗”だったかもしれない。敵地とはいえ、今季ここまで最下位争いを続ける広島相手に同一カード3連敗。6月下旬の対戦で同じく下位のDeNAにスイープされて以来の屈辱である。
首位を明け渡したのは事実だ。そうは言っても引き分け数の違いによる数字のマジックによるものだろう。勝利数はリーグ最多で、勝負はまだこれから。阪神に相性が悪いヤクルトがここまで踏ん張っているのは想定外だったかもしれないが巨人と争うのは分かっていたことだ。
そう言って強がりたいところだが、いかにも打線の状態がよくない。「どうもなあ」と思うのは阪神打線の仕掛けが早かったことだ。初球から…という場面が目についた。その割に床田から10三振、全部で16三振。ボール球を振っているようにも見えたし、そこに“焦り”を感じてしまう。
指揮官・矢野燿大はここに来て、いろいろ打線をいじってきた。この日は佐藤輝明をスタメンから外し、糸原健斗を今季初の5番に据えた。大山悠輔は6番だ。だがハッキリ言ってみんな調子がよくない。前半戦で3番を任せたマルテは、外国人枠の関係なのか、調整面なのか、ずっとファームにいるし、なかなか突破口が見えない。
どの球団でもこういうときはあるし、我慢の時期だろう。それでも1つ、気になるのは梅野隆太郎についてだ。矢野は7回、及川雅貴を投入するタイミングで梅野をベンチに下げた。坂本誠志郎もいい捕手だが、好調だった前半にはほとんど見られなかった光景だ。
「あまりにも簡単に打たれたんで。そこはバッテリーでもうちょっと考えないと…」。矢野は先制を許した1回、秋山拓巳が鈴木誠也に本塁打を喫した場面をそう評した。
28日の敗戦後にも村上頌樹、小川一平が本塁打された点に「リュウ(梅野)がもうちょっと引っ張ってほしかったというのは捕手的にはあるけど。若い投手のところだから」と言った。
捕手出身監督として捕手にシビアな目を向けるのは当然だろう。選手起用も指揮官の専権事項だ。それでも大山や佐藤輝と、梅野の存在はやはり意味合いが違うのでは、と思う。ここは梅野でじっくり粘ってほしい。巨人に比べて“経験”のない点は不安要素だが、だからこそベンチを含め、焦りは禁物である。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




