「内容じゃ、ないよ」。指揮官・岡田彰布、渾身(こんしん)のダジャレだろうか。いや、違う。本音だ。この3連戦、ツキまくっていた森下翔太のサヨナラ打でスイープに成功した試合だが岡田の理想からは遠い展開だった。

最大の誤算は2点差の9回に送り込んだ岩崎優が同点にされたことか。岡田は「まあ、チャンスをつぶしすぎたんで。3点で終わってたから、ああいう展開になったかも分からない」と話した。何より野球の“流れ”を考える岡田ならではの言葉だろう。

最近の戦いに詳しい虎党なら「おや?」と思ったかもしれない場面は同点の5回だ。先頭・西勇輝が左前打、近本光司が右前打で続いて無死一、二塁。打者は中野拓夢だ。中野には1回、3試合連続で犠打を命じている。ここもバント…と思ったが強攻策。結果は最悪の二ゴロ併殺打だ。

「あそこなあ…」と苦笑した岡田。テレビの勝利監督インタビューではこう話していた。「ちょうどね、投手がセカンドランナーだったんでね。難しかったですけど」…。こう説明したように二走が西勇だったことが打たせた最大の理由ではあった。しかし実は迷っていたのである。

「あそこなあ…。1球、ストライク来たらバントさせようと思ってたんや」。だが中野は初球を打っての併殺。内心、岡田は「しもた」と思っていたはず。だから2死二塁に場面が変わったここで森下が打っていれば、さらに岡田の彼を見る目も変わったはずだが、この際、それは置く。

いずれにせよ自身の“後悔”が生まれる場面もあって、接戦に持ち込まれてしまったゲームをなんとかもぎ取ったのである。その面では投打とも選手に頼もしさを覚えているはずだ。

「後半は勝ち負けや」と繰り返す岡田。序盤なら勝っても負けても内容が吟味されるが、すでに後半戦。さらに混戦が展開されているセ・リーグでは、もはやそんなことを言っている場合ではない。

この3試合に限ってはいい感じだが、もちろん、油断はしていない。「歯車かみ合うのは長く続けへんからな。あんま、はよう合うてしもてもあかんで。まだ7月やから」。そこは百戦錬磨。まだスパートの時期ではないと見ている。それでも長期ロードに出る前の甲子園ラスト、次の巨人3連戦が1つの節目なのは間違いない。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対中日 守備位置へ駆け出す野口(撮影・加藤哉)
阪神対中日 守備位置へ駆け出す野口(撮影・加藤哉)