異例の幕切れではあった。敗退が決まれば、通例なら指揮官以下、ナインがグラウンドに立ち並び、1年間の礼をするもの。それがなかった。さらにシーズンが終われば「オーナー報告」という行事もあるのだがそれも予定しないという。

球団によれば、すべては指揮官・岡田彰布の体調を考慮して、ということだ。実際、風邪をひいたという岡田はここ数日、つらそうだった。シーズン中は球場内のフロアを移動する際、エレベーターは上昇だけに使っていたが、この2日間は降りる際にも使っていたほど。退任が決まり、一気に疲れが出たのか。

とはいえ、そこは岡田である。敗退後の囲み取材では元気にボヤき倒した。くわしくは虎番記者の記事で読んでほしいが、面白いと思ったのは“選手教育”に関するところだった。

「ほめる選手? いない」と言い切ったが、このDeNA2試合で森下翔太は頑張った。森下はどうなんですかと、聞いたときの答えはこうだ。「(厳しく)言うたヤツだけやろ。野放しにしたら全然やもんな。大変やで。怒る人間がゼロになったら」-。

森下にはアッパースイングを指摘し、2軍にも落としている。岡田の2年間はそこに象徴されていた。前任の矢野燿大は「選手の背中を押すタイプ」。失敗しても、ほとんど責めず、頑張っていこうというスタイルだった。矢野に限らず、現在の球界はそういうタイプが多い。

一般社会とは違う世界だが、それでも球界も時代の流れには従うしかないのが実情だろう。他球団のコーチでも「選手を怒ったらこちらが注意されたよ」という話を聞いた。

そんな中で就任した岡田は異彩を放っていた。実力ある選手がそろいながら、勝ちきれない現状を打破すべく、劇薬とも言える“老将”を持ち込んだ。そして昨年、38年ぶり2度目の日本一を達成したのである。

「順番、間違えただけよ。1年目に(日本一に)なってまうから、おかしなってしもたやんか」。岡田はそうも言った。昨年2位で今年、優勝から日本一達成で勇退…となれば理想的だったのにということだろう。そんなことをキッパリ言ってしまうのが岡田の面白さだ。就任した際、キッパリと「おう。2年契約よ」と明かしていた。嵐のような2年間だった。大阪弁で言わせてもらって、感想は「おもろかった」だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対DeNA DeNAに敗れベンチから引き揚げる阪神岡田監督(右端)(撮影・藤尾明華)
阪神対DeNA DeNAに敗れベンチから引き揚げる阪神岡田監督(右端)(撮影・藤尾明華)
阪神対DeNA DeNAに連敗しベンチを引き揚げる岡田監督(撮影・加藤哉)
阪神対DeNA DeNAに連敗しベンチを引き揚げる岡田監督(撮影・加藤哉)