「ははあ」と思ったのは3回だ。1死一塁で佐藤輝明が竹丸和幸から死球を受けた。初球の147キロが左ひじの下に当たる。これが佐藤にとっては今季初の死球。約2年ぶりの死球だ。

感じたのは、ズバリ、巨人は「打倒佐藤」に本気やな…ということである。当たり前だが、それを強く感じたのは前日9回裏の光景があったからだ。

記憶に新しい、その試合は9回に動いた。阪神1点リードの9回表に力投を続けていた才木浩人がダルベックに逆転2ランを被弾。その裏、阪神打線も相手クローザー・マルティネスを攻め、森下翔太が同点の犠飛をマークした。2-2になり、さらに2死二、三塁のサヨナラ好機。ここで打席に佐藤を迎えた。

巨人バッテリーはここで佐藤に勝負を挑み、結果は空振り三振。そして延長10回に岩崎優が2失点し、阪神は逆転負けを食らった。

強く印象に残ったのは佐藤と勝負したことだ。1点取られても終わる場面である。塁を埋める策か、と思った。次打者は右打ちの大山悠輔だ。あそこは佐藤を歩かせ、2死満塁で大山と勝負するのが一般的ではないか、と感じたのである。

その対戦前、巨人ベンチはコーチをマウンドに派遣し、マルティネスと話している。どういうことだったのか。前日の試合後、巨人担当記者に聞いてもらった。

「あれだけの投手なので本人の意思を確認しました。『敬遠でなく勝負』ということだったので委ねました」。監督代行・橋上秀樹はそういう話をしたのである。

大物クローザーのプライドを尊重した形だが同時にここで佐藤を抑えなければ先はない…という巨人ベンチの強い意志も感じるのだ。佐藤は24日まで巨人戦で打率4割7厘。セ・リーグで最も打っている。だからこそ、この前半戦ラスト3連戦の舞台で勝負に出たのだろう。厳しい内角攻めもその延長戦にあるのでは…と見た。

「当然、勝負事ですから。そういう風な勝負になっていきますけども。明日、いい勝負をしましょう」。指揮官・藤川球児は佐藤の死球について、巨人の与死球がリーグで最多と指摘しながら、そう言った。

巨人は必死だ。ここでやらないと先はないと思っているはず。その気合に佐藤を含めた阪神ナインが勝てるかどうか。3戦目のポイントはそこだ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対巨人 3回裏阪神1死一塁、佐藤輝明は死球を受ける(撮影・上田博志)
阪神対巨人 3回裏阪神1死一塁、佐藤輝明は死球を受ける(撮影・上田博志)