今季の阪神を象徴するような勝利だ。1点を追う9回に佐藤輝明が同点弾。そして大山悠輔がサヨナラ本塁打ときた。「シーズン、結果オーライの時期はある」。少し前に闘将・星野仙一の言葉を借り、そう書いた。8月も後半、まさにそれだろう。
1回に1点を先制し、なお1死一、二塁。だが大山が併殺打を放ち、好機をつぶした。その後は8回まで二塁にすら走者を送れない。その間、逆転を許している。その土壇場9回で4番、5番の連弾で勝つのだからいかにも…なのだ。
「快勝」とは言えないと思うが京セラドーム大阪を埋めた虎党が狂喜乱舞するゲームだった。これがリーグトップのチーム本塁打「95」をマークする今季の阪神である。
そこで大きかったと思うのが9回を投げた桐敷拓馬の働きだ。1点を追う展開で4番手として登板。しかし、いきなり先頭打者を四球で出してしまう。犠打で送られ、1死二塁。ダメ押しを食らうピンチだ。
次打者は二ゴロで2死三塁。ここで迎えた1番の好打者・長岡秀樹には内角を厳しく攻めた。その結果が死球。一、三塁になったが2番・岩田幸宏を3球三振に切り、ピンチをしのいだ。その裏のサヨナラ劇で今季初勝利をマークする形になったのである。
桐敷はこれが今季20試合目。5月、交流戦最初のカード、日本ハム戦の途中で登録抹消されると、ここまで2度の“エレベーター”を経験している。直近は15日に上がってきたばかり。開幕から調子が上がらず、ファームで先発も経験するなど試行錯誤。今回の昇格も中継ぎだ。この日を見る限り、絶好調とは言えないが経験で投げきった。これは大きいと思う。
「若い選手たちが台頭してきて、それを支えるかのように及川(雅貴)であり、湯浅(京己)であり、桐敷と。ブルペンの結束というか流れが少しずつ出せるようになってきた。いい継投でした」。指揮官・藤川球児はそう話した。
大リーグも経験している球児の考えは「ブルペンは人が変わっていってもいい」というものだ。シーズン序盤と最後でメンツが入れ替わるのは歓迎というものである。確かに年間通じて結果を出すのは難しいし、理にかなっているとも言える。桐敷にしてもこれからだと思うが、ブルペンが球児が言うように新たに機能してくれば、これは大きい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)




