2試合連続でのサヨナラ勝利である。DeNAに連敗した巨人とのゲーム差は「4」と開いた。貯金も今季最多の「15」。いよいよ連覇への視野は開けてきた。この勝利が大きいのはチャレンジしたからだ。ドラフト2位ルーキーの谷端将伍を「7番二塁」で初のスタメン起用。岡城快生も「8番左翼」で使った。

中野拓夢のコンディション不良に加え、相手先発が左腕・山野太一なのもあっての起用だろう。その2人が活躍して…となれば最高だったが、そうは甘くない。谷端は5回に犠打を決めたが、ともに打席で快音はなかったのである。

それもあってか試合展開は重かった。8回まで5安打で無得点。8回表には3番手・岩崎優が1イニング4四球(申告四球含む)で1失点を喫してしまう。首位の座は動かないにしても、そのまま負けていればイヤな感じだったはず。しかし、その試合をひっくり返すのがいまの阪神だ。

植田海は伏兵だったがサヨナラ勝利の立役者はおなじみのメンバーだった。それでも「若手の育成」は阪神だけでなく、どこでも永遠のテーマだ。現在の阪神は、ハッキリ言って佐藤と森下のチームである。2人はまだ若い。しかし、いずれにせよいつかはいなくなるのだ。

大リーグどうこうの話ではない。それがあっても、なくてもいつかはメンバーからいなくなるのだ。だからこそ、次の野手をどうするかは課題だ。しかし言うまでもなくこれが難しい。佐藤や森下のようにドラフト1位指名で獲得し、期待のまま頭角を現してくれれば大成功だ。彼らも矢野燿大、岡田彰布(オーナー付顧問)と以前の監督が鍛えたからこそだが、やはり個人の資質は大きい。

「4番とエースはつくれない」。そう言ったのは知将・野村克也だが主軸をつくるのは難しいということだ。ドラフトで見つけ、ファームで鍛え、実績を積み、1軍に上がればそこで結果を出す。その積み重ねでレギュラーになるのを待つ。その繰り返しだ。

「勝ちながら育てる」ともよく言われるが簡単ではない。その意味でこの日は新たなチャレンジだった。「挑戦し続けることが重要なので。結果をもたらすのは、また別の部分」。指揮官・藤川球児はそう振り返った。首位の余裕と言えばそれまでだが必要な作業なのも事実だ。その試合に負けなかったことが大きい。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

阪神対ヤクルト 10回裏阪神1死満塁、大山悠輔(右から3人目)はサヨナラ左犠飛を放ちウオーターシャワーを浴び笑顔を見せる(撮影・加藤哉)
阪神対ヤクルト 10回裏阪神1死満塁、大山悠輔(右から3人目)はサヨナラ左犠飛を放ちウオーターシャワーを浴び笑顔を見せる(撮影・加藤哉)