古川が第2シードの柴田を破り、5年ぶりに3回戦進出を決めた。2回途中からマウンドに上がった2年生左腕鈴木優作が7回2/3を投げ6安打8奪三振と粘投。打線も計10安打で9得点を奪った。

 思い切り左拳を握り、ガッツポーズした。2番手でマウンドに上がった鈴木が相手強力打線を被安打6の4失点と耐え抜き、チームを3回戦に導いた。過去4年初戦敗退のチームが、今春準V校撃破でこの夏2勝目。鈴木は「今でも信じられない」。ナインとともにうれし涙でよろこんだ。

 「いつ逆転されるか不安でいっぱい」だった。だが1球1球、神経を研ぎ澄まして左腕を振り続けた。昨秋から春にかけ、大黒柱のエース高橋雄太郎(3年)が肩を故障した。「夏は自分がやらないとという自覚が出た」という。2-2の2回表1死、その高橋雄からマウンドを任されても「準備はできていた」。いきなり2、3回と打者6人から5つの三振を奪った。その後は計4失点も、最速130キロ超の直球とカーブで大量点は許さなかった。

 努力家だ。ダルビッシュ有の「変化球バイブル」を読み込み握りを研究し、イチローの著書や「甲子園に行くには」といった本も読み込んだ。読書で集中力を養うと同時に、日々の練習でもポール間走を他の部員の倍行うなど、高校2年目の夏にかけてきた。

 鈴木の粘投で、打線も波に乗った。2番日野悠人(3年)が4安打など、柴田から計10安打9得点。バックも好守を連発し、2年生左腕をもりたてた。中鉢修監督(50)は「鈴木は期待通りの活躍。やってくれると信じていた」と評価、打線についても「出来すぎです。こんなに打てるとは」と笑顔だ。第2シード突破で、10年以来の3回戦進出。勢いをつけた古川がこの夏、旋風を巻き起こす。【成田光季】