古川工が7回コールドで東北学院榴ケ岡を下し、4年ぶり3度目の決勝進出を決めた。エース右腕佐藤宏太郎(3年)が2試合連続0封と好投し、打線も計10安打で快勝した。決勝は今日21日にコボスタ宮城で午後1時から行われる。

 「兄越え」を目標にする佐藤が、古川工を決勝進出に導いた。11年の甲子園初出場以来、4年ぶりの快進撃だ。校歌を歌い、三塁側スタンドへのあいさつを終えると、バックスタンドと相手一塁側へ向かっても全員で深々と頭を下げた。勝利の儀式を終えて初めて、エースの笑顔がはじけた。

 準々決勝から中1日で臨んだこの日、最速136キロのストレートがさえた。「直球で押した」と、23年ぶりの4強入りで勢いに乗る相手にガチンコ勝負を挑んだ。7回を投げ、散発5安打。2試合連続の完封勝ちに「ようやく自分の中で良いボールが出てきた。気を張って投げたので少し疲れましたが、勝ててうれしい」と頬を緩めた。

 11年の甲子園に5番三塁手で出場した兄佑太郎さん(21)の背中を追い「甲子園に出たくて古川工に来た」。その兄からは「体が開きすぎている」などフォームのアドバイスも受け、ここまで勝ち上がってきた。目標は兄が果たせなかった「甲子園1勝」だ。「絶対に超えたい」と、野球に打ち込んできた3年間のすべてを最後の夏にぶつける。

 信心深くもある。「ここまで来たら神様でも何でも拝みたい」。1つ勝つごとに験担ぎは増え「大変なことになっているので、オレンジ色のパンツだけは継続しています」と苦笑い。今日21日の決勝も、好きなオレンジ色でグラブとパンツをそろえて臨む。仙台育英とは高校では1度も対戦はないが、シニア時代に戦った選手たちがいる。「(対戦は)楽しみ。一生懸命投げて気持ちで勝負したい」。宮城の頂点へ、佐藤がファイティングポーズを取った。【成田光季】