智弁和歌山が、昨夏決勝でサヨナラ負けした市和歌山との準々決勝で雪辱した。前半に再三好機をつかみながら得点できなかったが、5回と7回に2点ずつを挙げた。9回に追いすがる市和歌山の反撃を振り切り、2年連続の4強へ駒を進めた。

 智弁和歌山ナインは1年前の悔しさを、この一戦にぶつけた。昨年7月26日。甲子園出場の歓喜に沸く市和歌山ナインの姿は忘れない。およそ1年後に巡ってきたリベンジの機会を逃さなかった。

 気持ちをひとつにした。4回までは相手を追い詰めながらも得点できなかったが、5回1死一塁から1番野口春樹中堅手(2年)の一塁線突破の三塁打で先制した。その後7回までに4-1とリード。9回に2点を返されたが、全員で踏ん張った。昨夏も1年生でベンチ入りし、甲子園行きを阻まれた悔しさを忘れない野口は「1番は好きな打順です。この打順を続けられるようにしたい」と、7回1死三塁でも左前適時打を放った。エースの斎藤祐太投手(3年)は、昨夏決勝は先発し途中降板。その借りを完投で返した。

 1987年(昭62)に智弁和歌山が夏の甲子園初出場を果たして以降、昨年まで28年間で和歌山代表は智弁和歌山が8年連続など20回を誇る。そんなチャンピオンが今年はチャレンジャーとなっていた。主将の西山統麻捕手(3年)は「挑戦者という気持ちで」を強調した。

 高嶋仁監督(69)は「こういうゲームになるであろうと思っていましたので、まあ、よくやってくれたと思っております」と、今夏に1歩前へ進んだ選手たちをねぎらった。4強は、2年連続24回目。21回目の夏の甲子園へ、市和歌山とのビッグカード突破が勢いをつける。【宇佐見英治】