福岡県内屈指の伝統進学校がそろってベスト8を決めた。東筑は4回に奇襲のホームスチールで奪った虎の子の1点を死守し、強豪の柳川を下して2年連続8強。小倉は祐誠に競り勝ち、10年以来のベスト8進出となった。これで8強が出そろい、甲子園出場は春夏7回の東筑と春夏21回(夏優勝2回)の小倉が23日にベスト4を懸けて激突する。

 進学校東筑ならではの“知的”な奇襲作戦だった。4回2死三塁。三塁走者の3番・八巻優大捕手(3年)が「間一髪。イチかバチかのプレーだったが、迷わず行った」というビッグプレーが飛び出した。6番打者の松本幸太朗外野手(2年)の時、サインが出たカウント1-2から、6秒2の俊足でホームに突入した。

 セットポジションの柳川エース松永健二郎投手(3年)はホームスチールに気づいたが、動揺したのかホームプレートを外して投げたボールが高めに。八巻は「(本塁まで)半分を切った時点で余裕があった」としてやったり。配球や構えからタイミングを計り狙っていた。八巻は1年生だった13年秋の新人戦決勝でも決勝点のホームスチールを決め、九州国際大付撃破に貢献していた。練習試合で果敢に試みるなど奇策は、苦しい展開を打破する「お家芸」でもあった。

 そして堅守で虎の子の1点を死守した。守っても八巻はエース右腕、藤井寛之(3年)を好リード。7安打され得点圏に何度も走者を背負ったが、キレのある直球を主体に決定打を許さず要所を締めた。八巻は「打者の振りや見逃し方で察知した」と、4回1死一、三塁でスクイズを外すなどさえた。これも常日ごろから緊迫する1-0を想定した練習を積み重ねた成果だった。

 23日は、小倉との伝統進学校対決になる。八巻は「自分たちがやろうとしていることをやれば、結果につながる」。何が何でも、古豪対決に負けるわけにはいかない。【菊川光一】

 ◆東筑と小倉の過去の主な対戦 最近10年間の対戦を見ると、直近の6月の定期戦は東筑が4-2で撃破している。夏は14年3回戦で当たり、6-3で東筑が競り勝っている。東筑は11年春の北部大会3回戦や、13年秋の新人戦2回戦で勝利している。小倉は13年秋の北部大会パート決勝で勝っている。